第23話 疑惑の深まる場所
イアナの協力で、「ストリゴイの血の儀式」と「古の道具」が、将吾の犯行の核心にあることが明らかになった。
特に、将吾が古書に隠し持っていた凶器が、その「古の道具」を模倣したものであるという確信は、彼の狂気が単なる妄想ではなく、ある種の儀式に裏打ちされたものであることを示唆していた。
しかし、まだ一つ、どうしても拭えない疑問があった。
将吾はなぜ、あの血塗られた凶器を、ブラム城の敷地内に残していったのだろうか?
彼の周到な性格からすれば、証拠は完全に隠滅するはずだ。
もしかしたら、彼には凶器を隠すための、特別な場所があったのかもしれない。
私は、拓海と将吾のSNS投稿を再び詳しく見返した。
特に、ブラム城を訪れた際の投稿。
将吾は、城の歴史やドラキュラ伝説について熱弁を振るっていたが、その中で、ある特定の場所に異常なほど関心を示していたことを思い出した。
「拓海、将吾がブラム城で、特にしつこく写真を撮っていた場所って、どこだったか覚えてる?」
私の問いに、拓海は将吾のSNS履歴をスクロールしながら言った。
「ああ、覚えてるよ。メインの観光ルートから少し外れた、古びた地下牢だ。普通の観光客はあまり近づかないような場所だった」
拓海の言葉に、私はハッとした。ブラム城の地下牢。
そこは、かつて囚人が閉じ込められ、拷問が行われたと伝えられる、陰惨な場所だ。
将吾は、その地下牢の写真を何度も投稿し、「真の闇が宿る場所」といった不気味なキャプションをつけていた。
「あの地下牢なら…凶器を隠すのに最適かもしれない」
私の言葉に、拓海も頷いた。
地下牢は、普段はあまり人が立ち入らない場所だ。
さらに、その中には、暗く湿った空間が広がっており、何かを隠すにはうってつけだろう。
将吾が、わざわざホテルから抜け出してまで旧管理棟に侵入したのも、地下牢に繋がるルートがそこにあったからかもしれない。
次に、イアナが語っていた「ストリゴイの血の儀式」における**「魂の断片」**としての遥のペンダント。
そして、将吾がホテルに戻る前に、ホテルのWi-Fiに再接続していたという事実。
「イアナ、ストリゴイの血の儀式って、魂を支配した後、その魂の断片をどうするの?ずっと手元に置いておくものなの?」
私が尋ねると、イアナは少し考え込んだ後、ゆっくりと答えた。
「魂を完全に支配したストリゴイは、その魂の断片を、**『彼らが最も神聖とする場所』**に安置すると伝えられています。それは、彼らが力を得るための源であり、決して他者に触れさせてはならない場所です」
イアナの言葉に、私は再び確信を得た。
将吾にとって、その「最も神聖とする場所」は、まさにブラム城の地下牢だったのではないか。
遥のペンダントが、その地下牢のどこかに隠されている可能性が高い。
「将吾は、遥さんのペンダントを、あの地下牢に隠したんだ。そして、凶器もそこに…」
私の推理に、拓海は慎重に頷いた。
「可能性は高い。もし、あの地下牢にペンダントと凶器が見つかれば、将吾の犯行は動かぬ証拠となる」
しかし、ブラム城はすでに封鎖されており、私たち一般人が立ち入ることはできない。
どうすれば、その地下牢を調べることができるだろうか。
私たちは、ホテルに滞在する生徒たちの中に、ブラム城の職員と顔見知りの者がいないか、SNSを通じて情報収集を始めた。
そして、あるクラスメイトが、ブラム城の清掃員とSNSで繋がっていることを突き止めた。
「彼なら、地下牢へのアクセス方法を知っているかもしれない…」
私たちは、遥の無念を晴らすため、そして将吾の狂気を完全に暴くため、危険を承知でブラム城の地下牢へと足を踏み入れることを決意した。
そこには、遥の命を奪った凶器と、将吾の歪んだ心の根源が隠されているに違いない。
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