第14話 ステータスボード
『……アドリブがあったって面白いと思いますけど……。むしろシナリオ通りなんて飽きたりしませんか?』
『え?』
私とアレクシス様の周囲に拭いていた風がピタリと止まった。
シーンとしばらくの間静寂が満ちた後、声が聞こえてきた。
『……シナリオ通りは飽きる……』
『たまにはアドリブがあったって良いじゃないですか。
女神様がお作りになられた物語は素晴らしいと思いますが
次に何が起きるかわからない楽しさだってあるでしょう』
『……そうね……』
躊躇ったような相槌があった後、水晶が光り輝き始めた。
『女神様……』
女神様が婚約を認めてくれたのだとお礼を言おうとしたら、
「フフフ』と笑い声が響いてきた。
『良いわ。アドリブを楽しむこととします』
女神様の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
『アイデアをくれたお礼よ』
『え』
聞き返す間もなく、天上の方から降ってきた光包まれてしまた。
しばらく光り続けた後、
声が遠ざかっていくのと同時に光も消えていった。
『アドリブのアイデアをくれたお礼よ!シナリオ崩壊を楽しむわ。
あ、おまけつけとくから手伝ってねぇ!』
「え、ど、どういう意味……」
つい先程まで声もず、身動きも取れなかったのに口から言葉が出てちょっとびっくりしてしまった。
「ねえ、今のって……」
アレクシス様が戸惑い気味に言った。
幻や夢じゃなかったようだ。
何か言おうとしたらノックの音がして、開かれた扉から司祭様が姿を現した。
光を帯びた水晶玉に目を向けている。
「おおおなんという輝き!女神アストリアーナ様も祝福してくださっているのですね」
「……ありがとう……ございます」
アレクシス様は戸惑ったような声で、祝福に対するお礼を言った。
私も、女神様にお礼を言っておいたが、私と同じ状態だったらアレクシス様もかなり動揺されているだろうと
持った。
目の前に3D表示のウィンドウのようなものが表示されていた。
アリア・アルバトロス
伯爵令嬢
アルバトロス伯爵家第二子
スキル
水魔法4、光魔法5、聖魔法2
アイテムボックス
ステータスボード
聖魔法って何?あと、水と光の素養の数値が上がってる?
それに、アイテムボックスって……。
チラチラと目でボードの内容を追いたくなるけれど、目の前の人達には見えていないから知らないふりをしなくちゃ。
奥の間から出てくると外で待っていた家族に祝福をされた。
すぐにでもステータスボードの検証をしたい気持ちでいたけれど、みんなが笑顔で祝福してくれるのが嬉しかった。
無事に婚約が成立し、国を出ることが可能となった。
更にお兄様も、マグノリアノ王国の貴族令嬢との婚約話がまとまりつつある。
同年代の令嬢の加護が確定する年明けまでの間に家族で国を出ることになった。
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