めまい、耳鳴り、夢女

 恒例の通院日だった。二週間毎にかかってはいるのだが、そう代わり映えしないため、最近は日記をつけていなかった。

 本日は代わり映えした。私はとある疑問をぶら下げて、お世話になっているメンタルクリニックを訪れた。

 まずはカウンセリングからだった。


「こんにちはoさん、よろしくお願いします」

「こんにちは、ゆきさん。調子はいかがですか?」


 正直な話、調子は良かった。わりとマジで、かなり良かった。

 最近は睡眠がかなり元に戻ってきている。むしろ、前より良くなっている気すらする。以前は寝ても疲れが取れないこともよくあったのだが、今は寝ればけっこうすっきりしている。

 しかし、しかしである……。


「調子はめっちゃいいんですが、最近、吐き気とめまいがありまして……ついでにキーンと耳鳴りがすることもあり……」


 はじめのあたりに書いたが、私は調子を崩してあっちこっち診療する羽目になる前から、吐き気とめまいに悩んでいた。これがあったから脳神経内科に行くことにしたのである。結局脳は関係なかったし、終わった話なので割愛します。

 その吐き気とめまい、あったりなかったりしながらも、あんまり起こらなくなっていた。

 耳鼻科にかかった時は「耳に水がちょっと溜まってますね〜」と言われており、なんらかの漢方薬を一ヶ月分出されただけで終わった。

 そしてあれこれと不調が起き、まあなんなら不眠や胃の終わり方のほうが問題で、吐き気とめまいについては放置気味だった。


「吐き気とめまい、耳鳴りですか……」


 oさんは難しい顔をした。こう言っては詮無いが、その、本日も、かわいい……。笑顔の優しさと穏やかさ、考えすぎないようにしましょう!と明るく言ってくれる部分……パーフェクトだウォルター……。

 などと思いながら、原因がわからない上に最近は調子がいいはずなのに起こるのが謎だと話した。

 oさんはあまり気にしないほうがいいと言ってくれつつ、


「T先生にも聞いてみましょう」


 と締め括った。


 カウンセリングを終え、診察室へ入った後、oさんの言った通りにT先生にも同じことを聞いてみた。脳神経内科と耳鼻科でのことも話した。

 普段は大体ずっと笑んでいるT先生が、険しい顔になった。


「耳に水?」

「あ、はい」

「耳のどの辺りとか、詳しくは聞いてない?」

「そういえば仰られなかったな……なんかメニエールの手前の症状、みたいなことは言われましたが」

「アバウトだな……もっとちゃんと説明して欲しいね。しかも、連続で通院してくれとも言われなかった?そのまま?」

「はい、言われなかったし、処方された漢方薬飲んでもイマイチだったんで、それから行きませんでした……」

「それはよくないな。いや、草森さんではなく、耳鼻科さんがよくない」


 先生はどうも、水が溜まってますね〜だけで放置したにも等しい耳鼻科に対して怒っていた。

 え……やだ……かっこいい……。

 私はキュンとした……めっちゃ好きな攻め様じゃん……と思った。

 キュンキュンモブ女と化す私に対し、T先生は更に話した。


「めまい吐き気、更には耳鳴りがあると仰る患者さんはたくさんいますよ。どうしても、メンタルに関連しますからね。身体と心は密接に関係する。心の不調は身体の不調も齎してしまう。医学は人間のすべてを明かせてはいない、だから草森さんの今の症状が耳だけが原因だとは言い切れない。しかし、症状の度合いが以前よりも軽いとは仰った。前までが10だとして2.3くらい。それなら少しずつ折り合いをつけて、付き合っていこうという気持ちも持っていたほうがいい」


 私は頷いた。

 めまい吐き気、に困りきり、どうしても治したいというわけではなかったのだ。

 シンプルに、最近調子がいいのになんで起こるんだろうな?と思っていた。なんせめまい耳鳴り、やはり調子が良くない時に多く起こっていた症状なのだ。

 今は様子見がいいだろう。先生はそう言い、私も同意だった。


 頻繁に起こるようになり、起こった後に一日寝込んだり気絶したりと症状が悪化した時には、メンタルクリニックだけでなく他の科にもかかって対処しようと話した。

 私はお礼を言い、診察室をあとにした。


 そしてこれを書きながら思っている。

 ドクターを好みの攻め様だと感じていたが、今日は夢女にもなってしまった、と……。


 また会いましょう。

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