夫婦のバトル、そして結論
とにかくひたすらただただまんじりと、体が重い日々が来た。
今思い返すと本当に本当に重かった。この期間も労働には行っていたのだが、途中で力尽きて一旦床に倒れたりしたこともあった。
しかしこれ、床に倒れたと言っても気絶して寝たわけではない。眠れはしないのだ。単純に、滅茶苦茶に、倦怠感が血液も筋肉も脂肪もすべてを支配していた。
む、むりぽ……。私はあまりの副作用の重さに一度挫けた。
ミルタザピンの服用をやめたのだ。
まあそうするとまた午前四時起きに戻る。これはこれで、今まで通りの怠さがカムバックだ。
四面楚歌〜? 私はたいへん追い詰められていた。
そしてこの日記では初出となる、私の配偶者との真剣な対面会話のターンがやってきた。
はじめにちょっとだけ説明しておくが、昨年十二月中旬からどんどんと終わり続けていく私のメンタルやフィジカルに、配偶者はずっと寄り添ってくれていた。年度末までかなり仕事が忙しかったにも拘らずだ。
とても感謝している。そんな配偶者との、これからどうするか会話である。
まずは私のターン、ドロー。
手札から「副作用つらすぎる」を発動して口を開く。
「日中のだるさがえぐい。しかも理由はわからんが光が異様にまぶしい、スーパーとかにいくと照明がチカチカしすぎてどこを歩いてるかわからんようになる。ミルタザピンの副作用だと思われる、正直……飲むのやめたい」
配偶者は顎に手をやりながらドロー。
手札から「治りたくないのか」を発動して私を見る。
「午前四時以降も眠れてるのは確かなんだろ。それなら飲み続けて寝たほうがいい。俺はミルタザピンという薬の名前を聞いた時にちょっと検索してみたが、副作用自体はそのうち馴染んでいってマシになるみたいだぞ。治りたいなら、飲もう」
私はぐうっと唸りながらドロー。
手札の「もう殺して〜」を場に伏せて、「治りてえよ」を召喚。
「治りてえよ、治りてえ。でも金もあまりにも持っていかれる。脳神経外科にも消化器内科にも行かされて、ぜんぜん原因がわからへん。オンラインメンクリでも原因がわかったわけちゃう。とりあえず眠るための薬を処方し続けてもらっとるだけやし、やたら高圧的な医者とも話したりせなあかんかったりする。治りてえ、そして金がねえ、ひとりぼっちに感じる……」
配偶者は頷いて、慎重な手付きでドロー。
魔法カード「夫婦だろうが」で伏せの「もう殺して〜」を破壊、「オンラインやめないか?」を召喚。
「オンラインさ、領収書見せてもらったけどかなり高いよな? システム料っていうのが余計に乗っかってて、薬代込みで一回五千円くらい飛んでる……よな? これをやめよう。調べたんだが、駅から近いところにメンタルクリニックがある。多少歩いたところにも二軒ほどある。どこかひとつ、予約して行ってみるのはどうだろう?」
私はこくこくと頷きながらドロー。
手札から「紹介状が面倒でずるずるとオンライン診療していた」を召喚し、配偶者と見つめ合った。
「次のオンライン予約の時に、紹介状の話とかする」
「おう」
「めんどくさがってたらいつまでもこのまんまやもんね……」
「そらそうよ、ゆっくり治していこう」
「うん、ありがとう」
サレンダーした。こうして夫婦の話し合いは終わり、私はラストのオンラインメンタルクリニックの予約を入れた。
もう最後なのだからとO先生を指名もしなかった。
診察当日、画面の向こうに現れたのは優しそうな四十代くらいの女性医師だった。
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