薬局の思い出
あったけえ……あったけえよ……
外伝的な話題になるのだが、お医者さんや病院と切っても切れないのが薬剤師さんだ。
痛み止めと湿布を処方してもらい、アコファイドを処方してもらい、半夏厚朴湯を処方してもらい、デエビゴを処方してもらい、ベルソムラを処方してもらい……もうとにかく色々と処方してもらった。
お名前を全員覚えているわけではないが、五人以上関わった。
個人的な感覚なのだが、全員が全員、すごく温かい人だった。
アコファイドを処方してもらった時だ。
胃もたれで何も食べられず、よろよろとしている私を見た薬剤師さんは、心を痛めたような悲痛な表情を浮かべていた。
「機能性ディスペプシアですか……お加減はいかがですか……?」
「あ……ええと……死にそうです……」
「お食事は……?」
「何も……食べられません……豆腐でももたれます……」
「そんな……」
薬剤師さんは口を掌で覆った。
「アコファイドは、機能性ディスペプシア用にと開発されたお薬です。食前に飲み、落ち着けてください。効くように祈っております……」
あったけえ……。
私は半泣きだった。なんというか色々としんどすぎて、消しゴムを拾ってもらっただけで涙が出てくるほど人情に飢えていた。
お医者さんは決して悪いわけではないのだが、やはり多少事務的さを感じたりもする。
しかし薬剤師さんは、個人的な感覚としてはかなり親身になってくれた。
デエビゴとベルソムラ、睡眠薬処方のときもそうだった。
対応してくれたのは優しい声色の若い男性薬剤師さんだった。
「こちらはベルソムラ、睡眠に関するお薬になります。何か困ったこと、聞いておきたいことなどはございますか?」
音楽を聴いているような感覚で声を聞いていたのでちょっと遅れた。
「あ、あの、」
「はい」
「ぜんぜん……寝れなくて……デエビゴで……」
言うつもりはなかったのについ口に出た。メンタルが落ちすぎていて、誰彼かまわず弱音を吐きたい気持ちになっていたのだ。
しまったこんなこと言われても困るよなと、すみません大丈夫ですと続けて言った。
薬剤師さんは優しい声色のまま、優しい微笑みで私を見つめた。
「症状が、お辛いんですね……」
「う……は、はい……」
「デエビゴとベルソムラは、似た性質の薬にはなりますが……お薬というものは、個人によって効き目や効き方が変わります。草森さんにはベルソムラの方が合うかもしれません。まだわかりませんが、お試しになってみてください」
「は、はい……のみます……」
「処方することしかできませんが、どうぞ、お大事にしてください……」
もう、物凄くバブった。なんて優しいんだと感動した。抱っこしてねんねんころりして欲しかった。
ちなみにベルソムラは効かず、余裕の午前四時起き継続だった。
それはそれとして、半夏厚朴湯を処方してもらった時の薬剤師さんはドジっ子系でかわいかった。
半夏厚朴湯以外にメンタル疾患に効果のある漢方薬はあるのか聞いてみると、薬剤師さん用の薬辞典みたいなものをぱらぱらとめくって、うなりながら答えてくれた。
「柴胡加竜骨牡蛎湯、加味帰脾湯、あたりですかね……?」
聞き返されても、私にはわからない……。
「あっ、でも、漢方薬は何種類も飲むのは、あまりよくありません」
「そうなんですか……?」
「はい、ええと、肝臓を悪くしてしまう場合もあり……成分がかぶっていることも多いので、しっかりと確認はするべきです」
「漢方薬って言うと、健康に万能な感じがしますけど、そうでもないんですね……」
「ベネフィットとリスクがね、やはりあります」
急な横文字が欧米だ。私は頷き、半夏厚朴湯を手に入れた。
ちなみにこの半夏厚朴湯、六月現在も飲み続けている。喉の違和感の緩和のために飲み始めたが、症状はすっかり良くなった。
漢方薬によっては副作用的なものが心配な場合もあるようなのだが、半夏厚朴湯はそうでもないらしいので飲み続けている。というか一度飲むのをやめたら喉がんん“ッとなったので再開した。これからもまだお世話になろうと思う。
半夏厚朴湯以外で現在飲んでいる薬は抗うつ剤であるミルタザピンだ。
この薬については精神科・心療内科の項目で詳しく話したいと思うので、ここでは一旦置いておく。
現在これを処方してくれている薬剤師さんは温かい笑顔がチャームポイントな初老の女性だ。
精神科クリニックの真横にある薬局にいらっしゃるためか、やってくる患者さんの雑談に付き合う能力が著しく高いし、薬や症状についていろいろと話を聞かせてくれる。
そしてやはり、優しい。
「お薬減りませんね、お加減どうですか?」
心配した顔で聞いてくれる。優しい。
これから先もまだまだお世話になる薬剤師さんだと思うので、どうか私の闘病を見守っていて欲しい。
薬剤師の皆様方、優しくして頂きありがとうございました。
寛解に向けて焦らず生きていきたいです。
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