過去編レン視点④
月日は流れて、紆余曲折あったが、BLUE ECHOは一周年を記念するライブを行わせてもらえることになった。カナが炎上するたびに冷や冷やさせられたが、本人に難ありで敵を作り過ぎたことで起きた捏造の過去話だらけであり、逆に炎上した事でBLUE ECHOの知名度も上がったので結果的には良かった。……精神的にはかなり疲れるけど。
カナの人気は圧倒的だ。SNSでも自撮りや毒舌がよくバズって話題になるし。賛否両論だが、注目度は半端じゃない。リンリとはずっと犬猿の仲でリンリから出演NGが出て、事務所で一番人気のえるまにあと対バンが出来ないのはかなり痛いけど……。私もリンリとは気まずいから少しだけ助かっていたりもする。
ルリもカナと一緒にテレビに出演することによってファンがかなり増えた。彼女の顔はテレビ映えするし、テレビで毒舌なカナを宥めて中和してくれる。歌もダンスもすごく上手くなったし、ステージでも彼女は輝いている。
メルも若いのにすごい頑張ってくれる。やる気が誰よりもあって、自分から進んで難しいパートをマスターしようとする。思ったことがすぐ顔に出て困ることもあるけど、明るくムードメーカーでメンバーにいて良かったなってなるし頼もしい。
「……本当にそれでいいの?」
「はい。」
私はBLUE ECHO三周年の日に契約満了の日を迎える。そのタイミングで私はアイドルを引退し事務所を退所する。後悔は無い。BLUE ECHOが私の最後のグループで良かったと思うし、彼女達はみんなバラバラだけど最高のメンバーだとも思う。
「わかった。BLUE ECHOの新メンバーも早いうちから探しておくね。どうする?レンプロデュースの新しいグループとか作ったり……。」
「いいえ、そういうのはいいです。私が卒業したら……一ファンとしてライブを見に行きます。」
「そっか。」
一周年ライブの前日。私達は気合を入れるために四人でファミレスでごはんを食べた。カナは中華、ルリはパスタ、メルは唐揚げ、私はラーメン。みんなバラバラだった。
その帰り道、私はゲームセンターを見つけた。
「ねえ、みんなでプリクラ撮らない?」
「え、プリすか?」
「別に良いですけど。」
「レンさんとプリクラ撮れるなんて凄く嬉しいです!」
意外に全員乗ってきてくれて、普段は全然仲良くないんだけど、プリクラを撮影している時はまるで幼馴染の集まりなんじゃないかってくらい盛り上がった。カナは経験がないみたいでずっと戸惑っていてギャップで可愛いと思ったし、ルリは顔が良いし、メルは私よりも現代のプリクラに詳しく先導を切って頼もしかった。
「はいチーズ!」
機械の声に合わせて私達は笑顔を向ける。これがアイドルとしての私の遺影。『私の』BLUE ECHOの遺影。
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