本編⑧僕と彼女の結末
僕は両手に青いペンライトを持って、彼女の登場を待っていた。ルリのソロライブ『青の静謐』には三万人の観客が押し寄せている。僕は運良く最前列のど真ん中の席を当てることができた。後ろを見回すと全員が青いペンライトを持っている。海のように広がる青い光はとても綺麗だ。ルリにこの景色を見せてあげられるのがとても誇りに思った。
ステージのスクリーンにカウントダウンが映ると会場が沸く。十、九、八、と観客が声を上げる。僕も一緒に声をあげてカウントダウンをする。三、二、一。ゼロと同時にステージの床が上がってルリがジャンプをしながら登場して、歓声が上がる。
今日のための衣装、リボンのついた青いカチューシャに、白と青のフリフリの可愛らしいアイドル衣装、今は珍しいルーズソックスに青いスニーカー。BLUE ECHOの時のクールの印象とは違って甘くて可愛い衣装だ。正直ルリのイメージには可愛い方が似合っている。
ルリが澄んだ綺麗な声で歌う、完璧なステップで踊る。音を一つも外すことがない。自然なアドリブでファンサをする。ステージの上に立つ彼女はあまりにも完璧な偶像だった。
「あ……。」
一瞬彼女と目が合った。その一瞬で彼女は僕に微笑んだ。大きくて綺麗な瞳、さらりと流れるような黒い髪、そこそこ背が高くて美しいプロポーション、右目を長い前髪で隠したミステリアスな少女。本当にいつも彼女に心を奪われる。何度も奪われては何度もときめいてしまう。一曲を歌い終わると彼女はまっすぐ僕を見て言った。
「私は、本物だよ。」
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