第55話 お嬢様たちの体を張った総攻撃
「――やっぱり僕一人だと持て余しちゃうなぁ」
僕は、大浴場の広い湯船に一人で浸かっていた。
使用人である僕は、普段ならもちろんお嬢様たち専用の浴室であるここを使うことはできない。
それでも今日、こうして使わせてもらっているのは、僕が正式に使用人になったお祝い代わりだからだ。
「軽く泳げるくらい広い湯船なんて、温泉とか銭湯以外で味わったことないよ」
慣れないせいか、僕は広い湯船を持て余していて、隅っこでちょこんと浸かったまま動けずにいた。
「普段はお嬢様たちが使ってるわけだし、あまり僕が長風呂してお湯を汚すわけにはいかないよね。早く上がっちゃお」
湯船から出ようと片足を上げた、ちょうどそのタイミングだった。
ガラッって音がして、大浴場の扉が開いたんだ。
そこに現れたのは、風祭の四姉妹。
どういうわけか、みんな水着姿だ。
もちろん、純礼さまの水着選びの件でわかるように、この世界の水着だから露出がとっても高い。
純礼さまを筆頭に、もうほとんど裸だよって感じのデザインのものばかりだった……。
それにしてもみんな、肌が白くて程よく肉感的なんだ。
謎に金色なビキニ姿の久華さまは布面積があまりに少なすぎてお胸のトップと股間しか隠れていないし。
純礼さまは、この間一緒に買い物に行ったときの最小限ホットリミット水着だ。
「お、お嬢様!? 勢揃いでいったいどうしたんですか!?」
やっぱり、気が変わって早く入浴したくなったとか?
それなら僕はここにいちゃいけない。
「すみません! すぐ出ますから!」
「待ちなさい。あんたが出ていったら、あたしたちが来た意味ないじゃない」
瑠海奈さまが不思議なことを口にした。
「そうだぞ! あたしたちはな、露崎にサービスしに来てやったんだ!」
「さ、サービスですか……?」
「うむ。普段お世話になってるお礼として、きみの体を洗ってやろうと思ってな」
「だから、律くんはそこでじっとしていて?」
「ほらほら、早く来なさいよ」
過激な水着が揃う中ではまともすぎてつい安心しちゃう真っ黒ビキニな瑠海奈さまに腕を引っ張られ、カランの前にある椅子に座らされる。
「しまった。スケベ椅子を用意しておくべきだったな……」
僕の背後で、実紅さまが謎の後悔をしているのがあまりに不穏だ。
実紅さまはクラシカルなスクール水着なんだけど、胸の『みく』というネームが大きすぎる胸のせいで張り裂けそうだし、授業用らしからぬ股の食い込み具合で、きっと後ろから見たらお尻のほっぺがガッツリ見えていることだろう。
「おう露崎、お前はどっち派? 手と体」
「どういう二択ですかそれ!?」
「バカだな。わざわざ説明させんなよ。あたしの手と、あたしの全身と、どっちでお前の体を洗ってやるのが好みかって訊いてんだよ」
「やっぱりいかがわしいことじゃないですか! いいですよ、お嬢様たちの手を煩わせなくても、僕一人で洗えますから!」
「ふふふ、それならいっそ舌で舐めて洗う方がいいかしら?」
「純礼さま!?」
比較的性的なことには穏健派な純礼さまがとんでもないことを口にしたので、僕はつい振り返ってしまう。
びっくりしているのは僕だけじゃなくて、瑠海奈さまも久華さまも実紅さまも驚きの視線を純礼さまに向けていた。
「……言ってみただけよ? どうして律くんだけではなくて姉妹でそんな目を向けてくるのかしら?」
「だって、純礼姉さんは最近律に入れ込んでるから、それくらいしちゃうものと思って……」
バツが悪そうにする瑠海奈さまがいる一方。
「おいおい、入れ込んでるのはどっちだよ? 瑠海奈姉こそ、自分だけは興味ありませんって顔してもうすっかり露崎のことも名前呼びじゃねーか。抜け駆けはするなよな」
「だからそれは、そっちの方が文字数少なくて呼びやすいからよ!」
「あらあら。瑠海奈ちゃん、顔が真っ赤よ? それは本当のことなのかしら?」
「純礼姉さんまで!」
「仕方ない。律くんの意思を訊いても先に進まないから、ここはわたしが先陣を切ることにしよう」
姉妹がひしめき合う間をぬるりと抜けてきたスクール水着姿の実紅さまが、僕の脚の間に滑り込んで腰を掛けた。
「み、実紅さま!?」
僕の股間はタオル一枚で隔てられているだけだから、実紅さまのお尻にダイレクトアタックした今とっても危険な状態になっていた。
そしてやっぱり、水着がお尻にガッツリ食い込んで白い尻たぶが露わになっていた。
「ちょっと実紅!? それはルール違反じゃない!?」
「挿入されていないから違反でも違法でもありませーん」
時折出る実紅さまのクソガキムーブなんだけど、僕は未だにこの姉妹が口にするルール云々のことをよくわかっていないんだよね。
「なんだぁ? じゃああたしのこれもルール違反じゃねえよなぁ!?」
久華さまは、僕の右腕を抱き寄せただけじゃなくて、自らの両腿で挟み込んでガッチリ捉えてきた。
「ああっ、露崎の指の感触がする……! やっぱ自分の指の感触とは全然違うぜ」
「ぼ、僕の指を使って何をしてるんです!? ていうかそこを僕の指に触れさせちゃっていいんですか!?」
「それなら私も、これくらいはしていいわよね?」
今度は純礼さままで、僕を後頭部から抱え込むようにして抱きついてくる。
首に当たるこの得も言われぬ感触は、人類が味わうレベルでは比肩するもののない最上級の心地よさと思って間違いない。
「もう! 姉妹の連帯を乱したのは、あんたのせいなんだからね!」
なんでも僕のせいにする瑠海奈さまは、残っていた僕の左腕を抱え込んで、久華さまと似たようなことをする。
このときには僕はもう頭がぼんやりしてしまっていて、どうして瑠海奈さまはお湯に浸かっていないのに水着がしっとり湿っているのだろう? なんて益体もないことを考えてしまうほどだった。
前後左右、四方から感じる至高の肉の感触。
特に、さっきからふっくらとしたお尻と衝突している前からの感覚があまりに危うすぎる。
そんな状態になって、愛李ちゃんと同棲していた経験があるとはいえ、性体験なく終えた僕の体が耐えられるはずもなく。
やれやれ。
僕は――
【END】
恋人をNTRれて絶望していたら、貞操逆転世界に転移して美少女四姉妹にお仕えすることになった。 佐波彗 @sanamisui
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