The Wielder's path

The Wielder's path

(Keishōsha no Michi - The Path of the Wielder)

父の秘密 (Chichi no Himitsu - A Father's Secret)

古びた小屋の空気は、湿った土の匂いと恐怖で重かった。雨が茅葺きの屋根を叩きつけ、遠くの雷鳴が迫りくる軍隊のように轟いていた。ちらつく油ランプが踊る影を投げかける中、若い母親であるアカリは、古びた木箱を必死に詰めていた。彼女の顔には涙の跡が、息は荒く乱れていた。

夫であるライデンは彼女の傍らに立っていた。普段は頑丈な、農作業で硬くなった彼の両手は、生後数ヶ月にも満たない赤ん坊を毛布にくるんで抱きしめながら、かすかに震えていた。彼の顔は厳しい決意の仮面を被っていた。「傭兵たちが町の端まで来ている、アカリ」彼は低く、切羽詰まった声で、嵐の轟音に抗うようにささやいた。「彼を連れては間に合わない。」

その時、ライデンはアカリには理解できないことをした。床板の下から、長くて装飾の施された刀を引き出した。その柄は複雑に彫られ、薄暗い光の中でも刀身は輝いていた。彼はそれを慎重に木箱の中に置いた。「これを大切にしろ」彼は刀に視線を固定してつぶやいた。「こいつは覚えている。」

アカリは赤ん坊の無垢な顔を見てから、今や赤ん坊の隣の箱に収まっている神秘的な刀を見た。夫婦の間で、言葉にはできない、心を引き裂かれるような決断が交わされた。彼女は頷き、言葉にしない犠牲を理解した。アカリはライデンを強く抱きしめ、激しく、沈黙の別れを告げると、赤ん坊と、大切で重い箱を手に取った。

逃亡 (Tōbō - The Escape)

外では海が荒れ狂い、その波の音がアカリの心の中の混乱を映し出していた。遠くから叫び声と鉄の音が村の方向から響いてきた。絶望的な力で、彼女は頑丈な小さな舟を荒れる水の中へと押し出した。赤ん坊を、木箱と刀と共に、できるだけ優しく中に置いた。最後に、顔に涙を流しながら、必死の一押しをすると、小さな舟は暗く、容赦ない大海原へと流れ去っていった。

数年後、穏やかな波が打ち寄せる静かな浜辺に、今は16歳になった若いハルが、同様の小さな舟のそばに立っていた。彼は細身で機敏、その目は年齢以上に深い光を宿していた。ここは彼の故郷、彼が常に故郷と呼んできた場所、人魚から与えられた贈り物によって水中で呼吸できる場所だ。しかし、彼は自分が何か違うことを知っていた。彼は見慣れた装飾の施された刀を腰に抱きしめ、その重みは慰めだった。

陸上では人間に見える友好的な人魚が、敬意を払って少し離れた場所に立っていた。彼女がハルに舟を用意してくれたのだ。

ハル：「どこから来たのか、知る必要があるんだ。家族は誰なのか。」彼は決意に満ちた声で言った。

人魚は物憂げな目で頷いた。「健やかに行け、若者よ。潮流が汝を導かんことを。」

ハルは舟を水に押し出し、乗り込むと、広大で未知の大海原へと出発した。

海坊主の怒り (Umibōzu no Ikari - The Umibōzu's Wrath)

数日間、風と波の単調なリズムが続いた。ハルは無限の空の下を航海し、広大な青い世界の中の小さな点だった。その時、何の予兆もなく、彼の舟の周りの水が激しく渦を巻き始めた。空は暗くなり、深い、唸るような咆哮が水面下から響き渡った。

深淵から巨大な影が現れた――それは海坊主だった。その巨大な、影のような姿は坊主頭の恐ろしい僧侶に似ており、その目は古代の悪意に燃えていた。それは彼の小さな舟を圧倒し、深海の精霊が恐ろしい生を得たかのようだった。

ハル：「これは一体…！？」彼は息を呑み、本能的に刀の柄を握りしめた。

海坊主は巨大な影のような腕を振り回し、舟に叩きつけた。木が砕け散り、ハルは荒れ狂う水の中へ投げ出された。彼はもがき、刀を握りしめたままだった。海坊主が次の攻撃を準備するにつれて、刀は唸り始め、強烈な、異世界のような光を放った。かすかな、神秘的なささやき、ほとんど詠唱のように、彼の心に響いたが、言葉は理解できなかった。

ハルは計り知れないエネルギーの奔流、彼自身のものではない力が、刀から彼の中へと流れ込むのを感じた。彼の握り拳は固まり、彼はもはやただ戦っているだけではなかった。刀が彼のあらゆる動きを導いているようだった。目に見えない力に突き動かされ、彼は信じられないほどの速さと精度で動き、海坊主の巨大な攻撃を受け流した。戦いは苛烈で、輝く鋼と巨大な影のような形がぶつかり合った。ハルは圧倒されていたが、彼の体は刀の意思に導かれ、不自然な優雅さで動いた。

ハル：「何が起きているんだ！？」彼は叫んだ。恐怖と高揚が混じり合った声だった。

彼は最後の、壊滅的な一撃を繰り出した。刀は海坊主の影のような形に深く突き刺さった。精霊は苦痛と敗北の叫びを上げ、ゆっくりと荒れ狂う深淵へと消え去り、巨大な渦を残していった。

疲労困憊し、混乱したハルは、力が彼から抜けていくのを感じた。刀の光は消え、彼はかろうじて目を開けていられた。体は打ちのめされ、心は混乱していた。彼は気を失い、広大な海が彼の沈黙の目撃者となった。

取り戻された村 (Torimodosa reta Mura - The Reclaimed Village)

ハルは砂浜で目を覚ました。半分は浅い水に浸かっていた。穏やかな波の音と、見えない鳥のさえずりが、ゆっくりと彼を意識へと引き戻した。彼の舟は消え、海に飲み込まれていた。刀が彼のそばに横たわっていた。

彼は身じろぎし、海水を咳き込みながら、ゆっくりと体を起こした。頭はズキズキと痛み、混乱が彼の心を覆っていた。海坊主との恐ろしい戦いは覚えていたが、細部はぼやけていて、半分忘れ去られた夢のようだった。

ハル：「何…何が起きたんだ？」彼はつぶやきながら、よろめきながら立ち上がり、刀を掴んだ。

目の前には、古代の崩れかけた遺跡のように見えるものを飲み込んだ、鬱蒼とした密林が広がっていた。彼は厚い葉の中を押し分け、奇妙な不安感に引き寄せられるように奥へと進んだ。彼は廃れた村を発見した。今はほとんど自然に飲み込まれ、建物は崩れ落ち、ツタに覆われ、容赦ないジャングルの進撃に飲み込まれていた。

突然、下草の中で物音がした。一体の生き物が茂みから現れた。それは雄大で、ほとんど幽玄な獣で、その毛皮は木漏れ日の中で輝いていた。それは優しく、好奇心旺盛に見え、その大きな目は悪意なく彼を観察していた。

ハル：「ああ、やあ…」彼はかすかな安堵感に包まれ、ささやいた。彼は刀を鞘に収め始めた。害意がないことを示す本能的な行動だった。

しかし、刀が鞘に収まると、その生き物の目は突然細められた。その優しい態度は消え去り、古代の、激しい怒りがそれに取って代わった。

「貴様！」ハルの心に、ぞっとするような唸るようなテレパシーの声が響いた。「貴様がその刃を持っているのか！貴様が我々の一族を滅ぼしたのだ！百年前の代償を払わせるぞ！」

生き物は飛びかかり、その真の捕食者の本性を現した。不意を突かれたハルは、かろうじて刀を抜いてその生き物の強力な攻撃を防いだ。刀はすぐに再び光を放ち、同じ神秘的な力が彼の中を駆け巡った。

戦いは苛烈で、古代の復讐心と新たに目覚めた力との絶望的な衝突だった。ハルは圧倒されながらも、不自然な技で戦い、刀が彼のあらゆる動きを指示していた。彼は刀の意思に導かれる器だった。最後に、強力な、導かれた一撃で、生き物は倒れた。それは倒れ伏し、その最後の眼差しは憎悪と絶望が混じり合ったものだった。

ハルから力が引いていった。彼は息を切らし、震えながら、倒れた生き物と、いまだ光る刀を交互に見つめた。彼は戦ったことを覚えていたが、生き物の非難、彼の刀との歴史の明確さは、彼の心を根底から揺さぶった。

ハル：「何を…したんだ？」彼はささやいた。恐怖に満ちた声だった。刀の過去の行いが、すでに彼を悩ませ始めていた。彼は現場からよろめき去り、心は混乱し、目の当たりにしたことと、今や自分が振るう恐ろしい力から逃れるという本能的な欲求に駆られて、ジャングルの奥へと駆け込んだ。

助けの手 (Tasuke no Te - A Helping Hand)

ハルは肺が焼けつき、体が悲鳴を上げるまで走り続けた。彼はつまずき、膝から崩れ落ちた。力は完全に尽きていた。

突然、優しく年老いた手が彼に差し伸べられた。

彼は顔を上げた。賢明さと、恐怖、心配、そして深い混乱という複雑な感情が刻まれた顔の薬師が、彼の上に立っていた。彼は簡素な衣をまとい、薬草でいっぱいの袋を肩にかけていた。

薬師：「おや、若者よ。」薬師は優しく、しかし警戒心を帯びた声で言った。「この森でどんな災難に見舞われたのだ？」

ハルは話そうとしたが、視界が揺らいだ。世界が再び傾き、彼はよろめくと、男の腕の中に崩れ落ちた。

薬師はハルの傍らにひざまずき、深い心配で眉をひそめた。彼はハルの頭を優しく動かし、こめかみにある深い傷口を露わにした。傷は生々しく、鮮血が彼の青白い肌に際立っていた。薬師の目は深い驚きに見開かれた。これは神秘的な生き物でも、伝説の獣でもなかった。これは人間の少年で、人間の血を流していたのだ。薬師の目から恐怖がゆっくりと消え去り、集中した緊急性に取って代わられた。