第55話「神様との再会」

#第55話「神様との再会」


「神様、出てこいやぁああ!」


俺がそう叫んだ直後、何かが胸の中からスッと抜け落ちたように気分が軽くなった。


なんだろう、この感覚。もしかして、こうやって神様に本気で文句を言ったのは初めてかもしれないな。今後も定期的に文句を言うといいかもしれない。


そしてその夜――俺は、夢を見た。

いや、夢にしてはやけにリアルだ。肌に感じる空気、足元の感覚、匂いすらある。もしかして夢ではなく現実か?


そして目の前に、誰かが立っている。


「……あれ?」


よく見たその顔に、俺は思わず声を漏らした。


「久しぶりだな」


そこにいたのは、あの神様だった。間違いない。ほんと嫌になるぐらい久し振りだ。


「おい、神様、なんで急に出てきたんだよ」


「何を言っておるんじゃ、お前が呼んだんじゃろ? わしを。だから出てきてやったのに、ひどい言い草じゃな」


そう言われて、俺は思い返す。確かにさっき、本気で呼んだかもしれない。

そうか、今まで一度も呼び出したことなかったんだ。


「じゃあ、呼んだらいつでも出てきたのか?」


「さあな。わしも忙しいんじゃ。今回のように出て来られるかどうかは運しだいじゃな。じゃが、呼ばれもせんのに出てくる義理はないわい」



なんだその理屈。相変わらずマイペースな神様だ。


「で、タイムリープの旅はどうじゃ? 面白いか?」


「……神様なら知ってるくせに。散々だったよ。幸せだと思って死んでも、いつまで経っても終わらない。最悪だよ。あんた、最初のとき“幸せだと思ったら終わる”って言ったじゃないか。神様が約束破るとかどういうことだ?」


「それは嘘ではないぞ? お主が“どこかで”幸せとは思っておらんかっただけじゃ。だから終わらんのじゃ」


その言葉に、俺は言い返せなかった。

……確かに、いつもどこか不安や不満、後悔を抱えたまま死んでいた。

完璧に“幸せだ”と思いきれていた瞬間なんて、一度もなかったかもしれない。


「でもそれを言い出したらキリがないだろ? 完璧な幸せな人生なんて存在するのか?」


「そうじゃな。それが問題よ。今のままでは、永遠に終わらんぞ」


「……おい、それはさすがに屁理屈というものだろう。永遠に終わらないとか約束破りと変わらないじゃないか?」


「いやさっきも言った通りじゃよ。お主が“幸せになるまで人生をやり直したい”と願った。その通りになっておる。嘘じゃない」



……ほんと、こいつ口が達者でずるい。


「じゃあ、ずっとこのままなのか?俺はずっとタイムリープを終わらせることはできないのか?」


「いや、終わらせたいなら別にいいぞ。今回を最後にすることもできるぞ。もちろんお前が望めばだがな」


「……ほんとか?なら今回で終わりでいい、もうタイムリープを繰り返すのはごめんだ!」


「ああ、分かった。じゃが、その前に見せておきたいものがある」


そう言った瞬間、神様が手をかざすと周囲の景色が一変した。

そこに――見覚えのある人たちが現れた。


水川。佐々木。堀田。そして……霧島先生。


「……どういうことだ、神様?」


不穏な予感が、背中を冷たくなでた――。

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