第11話 四角関係!?ありがた迷惑なモテ期
夏休みが明けた教室は、太陽の熱気を引きずったままに、どこか浮ついていた。
宿題を忘れた忘れていない、遊びすぎた、受験がやばい、
そんな声があちこちで飛び交っている。
そんな中、こよみはというと。
「……嫌な予感しかしない」
始業式を終え、いつものように席に座っていたこよみは背筋に妙な冷気を感じていた。おそらくは予知能力なんかじゃなく、
ただの女子の勘。だけどそれはだいたい当たる。
担任の先生が現れてにこやかに言う。
「みんなー今日は転校生を紹介します!!前のところでは海外にいた人だそうです」
また海外かよと呆れる私に反してクラスのみんなは活気に満ち溢れていた。
もちろん、その中にはルカのように思い出してイケメンが来るかもしれないと
希望に満ち溢れていた女性がそう少なくはなかった。
少女漫画かよ、そんなぽんぽん転校生が来る回数のある学校なんてあるか??
先生が手招きすると、教室のドアが静かに開いた。
「はじめまして、九頭神ヨハネと申します。以後、どうぞよろしくお願い申し上げます」
瞬間、空気が変わった。整った顔立ちに静かに光る金色の瞳、背は高く制服を着ているはずなのにどこか王子様のような気品を漂わせてる。
女子の中からひそひそと声が漏れる。
「え、なにあの人……貴族??」
「ルカと別ベクトルでやばくない??」
「ヨハネ??ハーフかな??」
こよみはーーというと。
その転校生が自分に視線をまっすぐに向けられたことに気づく。
九頭神は意味ありげな微笑みを浮かべて、口を開く。
「お初にお目にかかります、こよみさん。以前よりお噂はかねがね。
お会いできて光栄です」
「……えっ、何で私の名前を知っているの??」
ざわめく教室。担任が「席はこよみさんの隣で」と笑って指示した時、更に茫然となり、昼休みに入ると案の定、その瞬間すぐ私の近くにあいつが来た。
「……やっぱり、来やがった。」
明らかにルカが警戒心剥き出しで、九頭神を睨んだままだった。
「ああ、久しぶり……でも、ありませんでしたね。相変わらず素直で」
「……ここで何を企んでいる??」
ルカは九頭神の首元の襟を掴みながら訪ねていた。
「ふふ、何とは??私はただーー彼女のそばにいたいと思っただけですが??」こよみの額から冷や汗が伝う。
(は……彼女のそばに今、なんて言った??)
するとルカがこよみに顔を向けて、真剣な目で叫んだ。
「絶対に近づくなよ!!あいつマジでヤバいからな!!」
ーーいや、それルカが言えることか!?!?と言いそうになるこよみ
その時、みのりが後ろの席からそっと声をかけてくる。
「やばい。増えている……イケメン陣増えているよ……」
「嬉しくないから!!」
やがて授業が始まるが、もちろん集中できるはずもなく。
そして昼休みーー
こよみの机の上には、クッキー入りの小箱やらラブレター風の折り紙などや謎の折り鶴やら並んでいた。
「なにこれ……呪い??」
「違う、たぶん”お近づきになりたい”とか”仲良くなりたい”とかそういうアピール」
「やめてくれ……」
そして、そんなことについてこよみとみのりが喋っている中で誰もいない校舎裏でルカと九頭神は対峙していた。
「なんの……つもりだ??」
「……そばで観察したいだけですよ」
「とぼけるな、近づくな。ーーお前に彼女は絶対に渡さない」
「相変わらず、独占欲が強い。それもまた面白い」
二人の間に、不穏な空気が流れる。
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その日の夜、こよみはベッドに大の字で寝転びながら天井を見つめていた。
ーーもしや、これは四角関係……というやつでは??
と頭を抱えた、不穏な空気がスマホに流れてくるとみのりからのLINEで一言だけこう書かれていた。
「モテ期だね()」
私は気の乗らない中で返事を返した。
「いらないんだけど!!??!!??」
ツッコミの声が、夜のこよみの部屋に響き渡るのだった。
夜の
召喚したらカレシを名乗ってきた溺愛系悪魔くん 芽久檸檬 @jingaizuki
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