第17話 クソ野郎だろうと天才が本気出せば身の程をわきまえるのだ!

 翌日、


「じゃあ練習を始めるよう」


 東雲秀、随分と偉そうじゃないか。


「いつからそんなに仕切れる立場になったんだ?」

「いや台本書いたの俺だしそもそも消去法でもう仕切れるの俺しかいないだろ」


 は?私がいるじゃないか!なんのためにわざわざ実行委員になってやったと思ってるんだ!


 いや、そもそも


「私に練習など必要ない!」

「はぁ⁉︎」


 東雲秀が心底驚いたように言った。

 なんで驚いてるんだ?当然のことだろ?


「台詞は完璧に覚えた。他に何をするんだい?」

「マジかよ……でもほら、普通に演技をよくするとかあるだろ」

「本気で言っているのか?私が?演技の練習が必要だと?」

「根拠もないくせになんでそんなに自信満々なんだよ」


 私の演技は常に完璧だ!これ以上磨いてしまっては他のものとの差に目も当てられなくなるじゃないか!


「ということで、後は凡人たちで頑張ってくれたまえ」

「どういうわけだよ!おい、待て!」



 さて、凡人どものリーダーなど全く興味はないが、今回はうまくやって才田知怜の仕切る隙を無くさなければ。

 まずは、あいつだな。


「おい!そこのお前!」

「あ?」


 私はサボっている男子生徒に声をかけた。

 私が働いてやっているのにサボるとはいい度胸じゃないか。


「お前、確か小道具係だったな?手が動いてないようだが」

「へぇ、こんなすぐに気づくなんて。さすが『天才』さんですねぇ」


 こいつ、おちょくってるのか?

 こいつのいう「天才」はどこか含みを感じる。嫉妬とも違う、なんだ?


「でも仕事がないんですよねー」

「嘘をつくな!横で働いてるだろ。なぁ墨田るい!」

「え、私⁉︎」


 私は横にいた墨田るいに声を掛ける。


 ちなみに彼女にも演者を勧めてみたが「私は世名様の素晴らしい演技をお客さんとしてみたいので!」と断られてしまった。

 本当に可愛い弟子だな、まったく!


「ふっ、仲のいい子に声をかけて味方でも作ったつもりですか?仕事がないのは事実ですよ。何も頼まれてませんし」

「え、そうなの?じゃあこの段ボール切ってほしいんだけど、いいかな?」

「……しょうがないですね。君たちに任せていてはいつまでも作業が終わらなそうですし手伝ってあげますよ」

「ありがとう!」


 なんなんだこの男は!私がこれまでにあった無礼者たちとは別ベクトルで無礼じゃないか!

 自分が正しいと信じ切っているタイプ、周りの人間を全員バカにしているな。


 ふふふ、

 あくまでも才田知怜に仕切らせないことが第一だが、面白い。

 難波稜真このクソ野郎、てめぇには絶対に現実を分からせてやるよ!

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