第3話 負けるはずがない、そう天才ならね!

「せ、せ世名さん!勝負のことなんだけど……」


 教室に向かっていると才田知怜に話しかけられた。

 ……


「えっ!?世名さん!」

「無視はひどいだろ流石に」


 当然スルーすると何故か友人Aの声も聞こえてきた。

 はぁしょうがない。今の私は才田知怜に現実を教えてやる算段がついて機嫌がいいからな!特別に聞いてやろう!


「引き分けの場合はどうしたらいいかなって思って、無効でいいかな?」

「引き分け?ふっ、舐められたもんだな。君は私と対等だとでも言いたいのか?その時は君の勝ちでいいよ。君程度の人と引き分けだなんて、実質負けみたいなもんだ」


 才田知怜、なんて傲慢な発言なんだ!

 偶然私に勝って自惚れているだけの凡人が天才の私と引き分けだと?そんなことあるはずがない!

 当然制裁を与えるべきだろうが私は許してやろう。

 基本的に諍いは同じレベルのものでしか起こらないものだ。こいつの発言なんて私にとっては不快な羽音でしかない!


「……なぁ」

「なんだい?友人Aくん?」

「いい加減名前を覚えろ!……お前ら、知り合いなのか?」


 急に何だ?こんなやつが知り合いなわけ無いだろ?もしこんな身の程をわきまえない失礼な男にもっと早く出会っていたらすぐにでも現実を教えていたさ。


「そんなわけ無いだろ。こんな失礼なやつ初めて会ったよ」

「知怜は別に何もしてないけどな。てことはお前、初対面のやつに対して『君程度の人』とか言ってるのか?そもそもお前は人のことをー」

「あぁそういえば」

「話を聞け!」


 私は才田知怜に向き合った。


「もし勝負に負けたら君は二度と天才を名乗らないでくれ」

「別に誰も名乗ってねぇけどな」

「友人A、静かにしてくれ」

「わかったよ!じゃあ僕が勝ったら世名さん、僕のこと名前で読んでくれないかな?」

「お前意外と図太いな」


 ぶつぶつと友人Aがうるさいがそれ以上に才田知怜の発言は見逃せない。

 僕が勝ったら?僕が勝ったらだって!?


「こいつ、本気で私に勝つ気なのか?ふふっ、ここまで来ると可哀想になってくるよ。明日にはもう外も歩けなくなってるんじゃないか。なぁ友人A」

「……ははっ、いや〜そんなこともないんじゃないか?」

「は?」

「今回は知怜の勝ちに全ベットだ。知怜が勝ったら俺のことも名前で呼べ」


 友人Aがニヤニヤとしたアホ面で言ってきた。


「お前は私が負けると本気で思ってるのか?正気か?」

「あぁ、お前は多分勝てない」


 こいつ、知怜に当てられたのか?

 完全に身の程をわきまえない無礼者になっている。


 そして翌日、私は張り出された順位表を見た。

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