4.婚約解消、そして・・・-4-
「お父様!お母様!・・・ミカリスお兄様!?フレデリックお兄様!?」
「シェリー・・・火傷は綺麗に治ったのだな?」
「私の事はどうでもよろしいのです!お父様、お母様、ミカリスお兄様、フレデリックお兄様、どうかアーヴェルとミラを処刑しないで欲しいのです」
「だが・・・」
「お父様。今だから本音を打ち明けますが、私は女性を侍らせる事が男の甲斐性だという考えを持つアーヴェル様と結婚したくありませんでした。ですが、その前に私はアメシスティナ王国の王女です。国の為になるのであれば・・・と、お父様が決めた結婚相手と添い遂げるつもりでした」
火傷の事は分からないけど、自分はこうして無事なのだからそこまでしなくていい。
アーヴェルとの婚約が解消になった事と慰謝料が入ったので十分なのだと、シェリアザードは必死になって両親と兄達に訴える。
「お父様、お母様、ミカリスお兄様、フレデリックお兄様。人を侍らせていた者にとって一番の苦痛は何なのか、ご存じですか?」
それは・・・自分の事を自分でするという立場になるという事です
お二人にはタタン公爵家とエクレア男爵家が立て替えた慰謝料を返済するべき義務があります!
「陛下、王后陛下。王女として法を順守しなければいけないはずの、当事者であるシェリアザード王女が訴えているのです。生きとし生ける者は罪を犯す。これは決して逃れられない生きる者の業──・・・」
処刑してしまったら二人は浮気という罪を犯した事に対する償いが出来ない。
だからアーヴェルとミラを生かして欲しいと、ラクシャーサがシェリアザードの意見を後押しする。
シェリアザードとラクシャーサの訴えに考え込んでいた国王ラウロであったが、暫くして言葉を告げる。
「・・・・・・良かろう。シェリー、今回は特例としてあの二人に恩赦を与える」
「ありがとう、ございます・・・」
これで冤罪への罪悪感を抱かずに済むと、シェリアザードは心から喜びの笑みを浮かべたのだった。
※シェリアザードの身体が火傷のようになってしまったのは幻肢痛のようなものだと本人が思っていますが、自分は医療については素人なので本当にそのような症状が出ると思わないでください。
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