第3話 水曜日の教室
水曜日の
「……で、このタイムカプセルの写真は、どーんと学級新聞のいちばん上に大きくのせよう! 取材はもうバッチリさ」
そう言って新聞の下書きを指さしたのは、ハジメこと、
「デジタルイラストとか動画も入れて、タブレットで共有して、クラス全員で見られるようにしたらどうかな?」
もの知り顔で笑ったのは、
クールな美人で、テストもかけっこもいつもトップ。そのうえ、クラスでいちばん背が高い。だから、小柄なハジメはちょっと気にしてるみたい。
「でもさー、中学生になったら、グンと背が伸びる子、多いよ。ハジメだって、だいじょうぶだって!」
「ナツキは、のんきすぎるんだ。ぼくの背が伸びても、うさぎさんも伸びたら、けっきょく負けじゃないか」
「う~ん、身長って勝ち負けの問題かなあ?」
そんな会話を、うさぎさんは涼しげな笑みで見守ってた。余裕しゃくしゃくって感じ。
でもね、私、知ってるんだ。うさぎさんって、じつはハジメのこと、すごく応援してる。きっと、幼なじみってだけじゃない気がする。
そのとき、
私と同じくらいの背で、髪は短め。私は五年生の中じゃ、背丈は、たぶんふつうくらいで、肩までのボブ。 ふたごだけど、男の子と女の子だから、そんなにそっくりってわけじゃないの。
「ナツキ、まだ終わらないの? 一緒に帰ろうと思って、さっきから待ってるのに」
「え? 先に帰ればいいのに」
フユキはふくれっ面。 その顔を見て、『しまった』って思った。ちょっと冷たかったかな。
フユキはとなりのクラスなんだけど、いつも私にくっついてくる。もっとクラスの子たちと仲良くすればいいのにね。
そんなことを思っていたら、うさぎさんがガタンと席を立って、
「そろそろ帰ろっか。学級新聞の仕上げは、ハジメにまかせた! ハジメならぜったいに上手くまとめてくれるし」
うさぎさん、うまいなあ。 そう言われたら、ハジメががんばっちゃうの、ちゃんと分かってるんだ。
こうして、私とフユキ、うさぎさんとハジメの四人は、いっしょに校門を出た。
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