青い薔薇は、掠れて咲かない

都会のキャバレー「ロゼ・ノワール」で住み込みのボーイとして働く大学生、春野紅。
彼は自らの性に違和感を抱きながらも、自分らしさを表現するため、化粧を施して夜の世界で生きていた。
だが、化粧をした彼は度々客に嘲笑され、否定される。
それでも、紅は傷つきながらも信念を曲げることなく、その日々を静かに、確かに生きていた。

ある夜、彼の前に現れたのは、冷たくも魅力的な目をした男――蒼井花（あおい・はな）。
人気作家として知られる彼は、最初は紅を面白半分でからかうが、次第に紅という存在に惹かれていく。
「咲かない花だからこそ、人は夢を見る」――
そう語る花の言葉は、紅の胸に深く刺さり、やがて二人の間には友情とも愛ともつかない、危うくも美しい関係が芽生える。

しかし、一夜の過ちを境に、二人の関係は崩…続きを読む