第2話「試験開始を待とう」
開始まで待っていると、最初は少なかった受験者がかき分けないと動けないぐらい多くなってきた。背が低い僕は、人にぶつからないように頑張って人をよけながら邪魔にならない場所を探していると、気になる会話が聞こえてくる。
「あなた、私のライバルにならない?」
周りの人たちの隙間を縫うように移動しながら、声の聞こえた方まで向かう。
提案をしていたのは、今まで田舎で暮らしていた僕でも名前と噂は知っている有名人。ロフェン・グリンド侯爵の娘であるレイリン・グリンド様だ。
まさか、この目で見れるとは思わなかった。
噂通りその姿は美しく。金色の髪は品がありながらも、ふわふわとした女性の可愛さと美しさを出していて。さらに、キリッとした顔立ちを引き立てるように、赤い瞳が加わりよりカッコよさもある。スタイルはスラっとしているが、常に品のある立ち方をしており魅惑されてしまい。僕は一目でこの人は完璧な人だと感じてしまう。一方、話しかけられている人は…誰だろう。
髪色は珍しい明るい茶色とおっとりとした顔立ちに、より優しさを見るだけで感じる。立ち姿も目立ちたくないのはどこか引き越しである。
「ええっと...私なんかが....グリンド様とライバルになれるとは思いませんが....」
確かに一見強そうには感じないけど、どこかを探っているな目で周りをちらっと確認などしている。
「自信を持って、ブリシュワン・ライルド」
知らない家名だ。僕と同じ市民か田舎の方の貴族なのかな?
「え?な、なぜお名前...」
「そこの二人俺様よりも目立つな!!」
突如、後ろから大声が上がり、僕も含めて受験生たちはそっちに振り向いてしまう。
「俺様は、いつかこの国になるもの。そう!第一王子のガザンダ様だ!!」
その言葉に周りがざわめく。
理由は単純明快、この場に王族がおられるからだ。
ガザンダ・ザインド。
この国にいるのならば知らない人はいない王子様。
魔法、剣術共に素晴らしい才能を持つと噂は名前と共に広がっていったほどだ。
全てを見つめるような凛々しい青い瞳に、日光のように輝く金の髪。女性は魅了され、男は屈辱感を突き付けられるような顔だち。
正直言うと、僕もあんな顔になりたかった。
とにかく、王族の登場にざわめく受験者たち。それをを制するように、本校舎であろう建物についている大きな鐘が鳴り、ざわめく受験者たちは一変し、緊張した顔もちで黙り込む。
「うむ、集まっているようだな」
威厳のある声がこの場に聞こえ、こつこつと杖のつく音が聞こえてくる。受験者たちはそちらの方に体を向け、あるものは汗をかき、あるものは深呼吸を続ける。
「それでは....今からグリラグルド魔法学園。入学試験を始める!」
その声とも現れたのは、この国一番の魔法使い。バリルド・ティフォンその人であった。
魔法を極めて歩みだそう 永寝 風川 @kurabure
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