第44話 学園生活の始まり

 公徳学園を飛び出した私は東大阪市から四條畷まで10キロくらいの道を歩いた。

 何故、四條畷に向かったのかは覚えてない。



 見慣れた景色を見た時は既に陽は暮れていた。

 こんな時間に頼れる人はいない…かといって野宿はしたくない…。

 そうだ!

 まっちゃんとこに行こう。

 たけのーたちと一緒に遊んでいた松田こと、まっちゃんだ。


 まっちゃんの家は重春叔父さんの家とは目と鼻の先だが、家には帰れない…。



 比較的、親も甘いまっちゃんのトコなら大丈夫だろうと思い、インターホンを鳴らした。

 まっちゃんがドアを開けて顔を出してくれた。

「後で出るからちょっと待っといて。」


 と、言ってくれた。

 数分後、まっちゃんが出てきてくれた。

「悪いけど2階の窓から入って。」と、言われてまっちゃんの部屋にお邪魔した。



「顔…どうしたん?」

 私の顔を見るなり、まっちゃんは言った。

 私が事情を話すと、


「ホンマにぃ?酷いなぁ~。」


 まっちゃんが私の気持ちを解ってくれたような気がして、嬉しさ半分、あの時の悔しさ半分、涙が溢れてきた。




 まっちゃんの説得もあり、次の日重春叔父さんの家に帰った。


 家に帰ると重春叔父さんが迎え入れてくれた。


 叔父さんも仕事の合間に帰ってきていたらしくて、

「何があったんや?大丈夫か?酷い顔してるのぉ。公徳学園から連絡あって、喧嘩して飛び出したって聞いたんや。」

 と、私に言った。



 叔父さんに事情を話したら

「それは、きっちり話せなあかんなぁ。預けてるのはこっちやけど、こんなことがあっても心配が増えるだけやし、担当の河野さんと話しよ。」


 そして、叔父さんと公徳学園に向かった。


 応接室で、河野さんを含めて3人で話し合った。

 新一君が呼び出されて応接室にきた。


「あの時は、先輩としてみっともないことして悪かったなぁ。」

 と、新一君は私に謝ってくれた。

 私も

「みんなに迷惑かけたみたいですいません。」


 と、謝った。


「おまえ、アホやなぁ。脱走してへんかったら、今日みんなで餃子の王将行けたのに…」

 と、笑って話してくれた。


 だが、私の行動がおもしろくない人間がいた。



 ゆずりはグループの土屋君だった。中庭を抜けて寮に帰る途中…。

「おまえ、ホンマにイキってんちゃうぞコラ!!おまえひとりの勝手な行動でみんな迷惑しとんじゃ。」

 と、言われ、ボディに一発を喰らった。


「すいません。」

 私は迷惑をかけたことは間違いないので素直に謝った。

 土屋君は

「まぁ、気をつけろや。」

 と一言行って、私とは反対方向へ歩いて行った。



 学園の子は外出許可を得れば2時間だけ外出ができる。

 同じ寮の尾崎君と、田中君が誘ってくれて、近くにある八戸ノ里駅まで遊びに行くことになった。

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