第二章
2024年1月7日 ①
2024年1月7日
僕は関内駅にいた。
年明け早々、武田さんから「横浜中華街に一緒に行かない?」とLINEが届いた。
僕は二つ返事で了承した。家からはおよそ二時間かかったが、楽しみだったからか、大学へ行くときよりもずっと短く感じた。
「神田君、あけましておめでとう」
12時ぴったりに武田さんが来た。その美しさに少しドキッとした。
新宿で会ったときよりも、今日は少しカジュアルで、柔らかい色味のニットと、スカートの裾が揺れるたびに彼女の明るい気分が伝わってくるようだった。
「あけましておめでとう」
「今日はちゃんと時間通りに来れたよ!」
「僕も今来たとこ。中華街に着いたら、何しようか」
「うーん、とりあえず、食べ放題に行こう。その後は、占い‼」
身を乗り出すように話す武田さんは、本当に楽しそうだった。
関内駅から、少し歩くと、横浜スタジアムの前を通る。スタジアムでは今日はシニアのサッカーフェスが行われているようで、それなりに混んでいた。僕はスタジアムから遠い方をなるべく歩くようにした。横浜中華街に着くとすぐに、食べ放題のお店を選んで中に入った。そして、店員から食べ放題の説明を受けた。
「まだ七日なのに混んでるね」
武田さんが少し困ったような顔で言う。
「そうだね。スタジアムの前はヤバかったね。何頼む?」
「とりあえず、餃子と小籠包、あと、ラーメン食べたい。有名なやつ一通りたのも」
「了解」
僕は店員を呼んで、言われたものと、チャーハン、マーボー豆腐、北京ダック、唐揚げを頼んだ。
「ドリンク取りに行ってくるけど、武田さんは何がいい?」
「ウーロン茶で‼」
今日はなんだか元気いっぱいだな、と思いながら、二人分のウーロン茶をもって、席に帰ってきた。
武田さんは「ありがとう」と言ってウーロン茶を受け取った。その後、すぐに、さっき頼んだものが出てきた。そのテーブルの上の皿のひとつひとつが想像以上に大きくて、僕は少し後悔した。
「おいしそう~」
僕とは対照的に、武田さんは目を輝かせていた。
「いっただっきまーす」
「いただきます」
僕たちは箸を手に取り、さっそく料理にかぶりついた。
どれもおいしいものばかりだった。そのため、食べ始めたら、思ったよりすぐに食べ終えてしまった。食べ終えると、武田さんが話始めた。
「今の時期って学校ないから、めっちゃ暇じゃない?」
「それは武田さんが冬休みに入る前に冬の課題終わらせちゃうからじゃ……」
「あーそっか。みんなは課題があるのか」
「まあでも学校がある時期に比べて、時間があることはあるけど」
「そうだよね。その時間、幹人君は何に使ってんの?」
「僕は……本読んだり、昼寝したり。そんな感じかな」
「やっぱりそうなるよね。だから今日は久しぶりにどこか遠くに行きたいなって思って誘ったんだよね」
その言葉が、なぜかくすぐったくて、僕は思わず話題を変えた。
「この後は占いに行くんだよね。占い、信じてるの?」
「うーん……私、ここまで生きてきてやったことないんだよね、占い。だから信じるかは今日の内容次第かな」
僕は人生で一度だけ占いをやったことがあるが、その時はあまりいいことを言われなかった。だから、なんとなく、占いを信じてない。
「占いの話してたら、もうやりたくなっちゃった。そろそろ出よっか?」
僕はうなずいて、会計に向かった。
ほんの少しだけ、今日という日が終わってほしくないと思いながら。
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