第25話 みのりさんと交際をスタートさせる
「みのりさんのことが大好きです。おつきあいしていただけないでしょうか。もしダメならば、お友達としてスタートしたいです」
「私には絶対的に好きな人がいます。その人以外とはおつきあいすることはありませんし、連絡交換をするつもりもありません」
「あんな奴よりも・・・・・・」
あんな奴は確実に自分をさしている。大多数から嫌われるところは、大学生になっても健在だ。
「私の恋愛観にいちゃもんをつけないでください。これ以上の要件がないのであれば、失礼させていただきます」
口調は丁寧ではあるものの、相当な怒りを含む声。優しくしてくれた時とは、完全に別人である。
「無口君、聞いていたんだね・・・・・・」
一度も告白を受けたこともない人間もいれば、複数から交際を申し込まれる人もいる。人気のある男女は、狭き門となっている。
みのりは胸に手を当てた。
「無口君のことが大好きです。おつきあいしていただけないでしょうか?」
予想していなかった告白に、頭は真っ白になった。
「みのりさん・・・・・・」
他の人は信じられないけど、みのりなら信じてみようかな。人間不信になっていた男は、ちょっとだけ前向きになっていた。
「こんな人間でよければ、よろしくお願いします」
「無口君、ありがとう・・・・・・」
大学に入学したての頃は、友達を作るシチュエーションすら想定していなかった。恋愛をスタートさせたことは、奇跡に等しい。
「みのりさんは、交際したことはあるの?」
「高校時代に複数人の男と付き合ったよ。誰とも長続きすることなく、一カ月と経たないうちに終わったけどね。最短記録は一時間だよ」
みのりにはすぐに別れたくなる、悪い癖を持っているのかな。対人関係に億劫な男は、不安感をおぼえずにはいられなかった。 使い捨てロボットさながらに扱われたら、人間不信はますます強くなる。
「みのりさん・・・・・・」
「心から愛せる異性ならいいけど、その他はきついタイプなんだよね。異性のストライクゾーンが極端に狭いんだ」
極端に狭い恋愛ストライクゾーン=究極の変人が交際対象。みのりは多数派に見えて、少数派に分類されているのかなと思えた。
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