新感覚の愛憎劇――真実の愛という呪いの先に真の幸せを手に入れられるのか

第一章までのレビューです。
本作は婚約破棄ものですが、今回は「真実の愛」という主人公・オーロラの自由を奪う見えない呪いが実に特徴的な作風となっています。

オーロラ・フォレスティ伯爵令嬢は生まれた時にミレイユ王妃から「真実の愛」の呪いを受けてしまいます。それは「真実の愛」以外で結ばれたとき自身は呪われ、相手の男はその呪いによって殺されるという恐ろしい呪縛。

呪いを解くか、「真実の愛」を見つけるか。
その究極の二択にオーロラの未来が運命づけられてしまう物語です。

アレックス王子殿下のお誕生会のあと、国王陛下からオーロラとアレックス王子殿下との婚約の打診を受けます。アレックス王子はミレイユ王妃の息子に当たる人物。これはまさかの展開です。

もしアレックス王子がオーロラの『真実の愛』でなかったら、アレックス王子は呪いで死ぬ結末を迎えてしまうからです。そんな危険を冒してまで自分の息子との婚約を考えるでしょうか。ミレイユ王妃が、王子とオーロラとの縁談を拒否しない理由は何なのか。謎のベールに包まれたままストーリーは進みます。

オーロラのプラチナの髪やアイスブルーの瞳に対し、嫉妬の色を燃やすミレイユ。王妃の嫌がらせは息子のアレックスたちを介して陰湿さを増していきます。言葉の刃と孤立の眼差しで徐々に身をやつしていく可哀想なオーロラ。
王宮でも学園でも――オーロラにまとわれた不名誉な蔑名『笑わない伯爵令嬢』――貶められ不遇に耐えに耐えるオーロラへの心痛は計り知れません。
しかし、彼女の強い意思と彼女を取り巻く心優しい人物とが織り成す未来が、オーロラを幸せな道へと導いていくことでしょう。

真実の愛は彼女のためにあるように。

真実の呪いという新感覚の制約が愛憎を心底から深め、それらが奥妙に交錯するストーリーは秀逸です。シリーズ悪役令嬢の差別化を図った意匠の凝らされた意欲作、ぜひ手に取ってみてください。

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