軽くテンポの良い文章でありながら、美しいとも感じさせてくれる言葉や言い回しが差し込まれるのが癖になります。
比喩や情景表現など、ボリュームに頼らずに簡潔にそして明確に表す文章力は素晴らしいの一言だと思いました。
七不思議という話の中で、作り込まれた物語の要素が積み木のように組み上げられており、作者さんの文章力も相まって、どこか不安定な、どこか心もとない雰囲気がこの物語のホラー要素、学園怪異の雰囲気をより一層臨場感あるものに仕上げています。
各章、気軽に読むことができ、区切りの仕上げもしっかりと磨かれています。
そして何より作者さんの“花”、“植物”に対する並々ならぬ愛情や情熱が感じられ、花ひとつひとつに込められた想いが物語の中核を成しているように見えました。
まずは是非とも読んで頂き、この世界観に触れて頂きたい作品だと思います。
特に草花樹木を愛する方、必見です。
幾つもの学校で、花係が謎の失踪を遂げている⋯⋯そんな不穏が蔓延る町の高校に、マイペースを崩さない、一癖も二癖もある転校生がやってきた!
そして、花壇係を務めていたヒロインは、そんな曲者転校生と行動を共にすることになり、想像だにしなかった怪奇現象に次々に遭遇することになる――
マイペース転校生に、墨で塗られ、白粉を掛けられた上に。
けれど、その転校生が意外なほど素直で真面目で、憎めない奴なんです!
怪異を退治することは出来るのか!?
謎多き転校生ヒーローの正体は!?
ヒロインは彼に心を動かすのか!?
ぞわぞわドキドキと、夢中になれる物語です!
中学に進学して半年。相方の不登校により、仕方なく転校生と“花係”を組むことになったメイ。
本来なら地味で平和な係のはずが、この学校ではまるで事情が違います。
転校生・安斎くんは七不思議にやけに詳しく、怪異と遊ぶように戦うというトンデモな人物。
しかし、彼には「妖花」と呼ばれる謎の存在と向き合う使命があるらしく──。
地に足のついたメイの視点から描かれる世界観は、怖さの中にもどこかユーモラスな余白があり、キャラ同士の掛け合いもテンポよくてクセになります。
七不思議のモチーフもひとつひとつ丁寧に作られており、ただの怪談ではなく「事件」として展開されていく構造も見事。
営業スマイルな安斎くんと、冷静なメイのツッコミのやりとりもじわじわクセになります(笑)
謎が謎を呼びながらも、ホラーに寄りすぎず、それでいて軽すぎない絶妙なバランス感。
妖しさと青春が絡み合う、静かで熱いホラーファンタジー。
夏の夜にぜひ読んでほしい一作です。