第10話 最悪な日 夜
「
うわ。しまった。
私が家に、いないことが見つかったんだ。
玄関の戸を開けた、とたんに、お母さんは腰に手をあてて、私に
私は玄関の前で立ちつくす。
すでに
「お母さん、なんて言った。今日は
うわ。やば。
私は地面を見た。
だって
「それと、
「……」
私はズボンの
なんで、こんな日にかぎって、お仕事が早く終わっちゃうの。
「
私は
どうしよう。ばれちゃった。
どうしたらいいかわからなくて、私は
「
両親二人から責められて、だんだん
「うわああん」
大樹が、いきなり大声で泣き出した。
お
なにさ。泣きたいのはこっちのほうだよ。
それに、お父さんも、お母さんも、泣きだした
なんだか、カチンときた。
だって、なんで私だけ怒られるの。おかしいよね。
さっきまでは悪いなって思ってたけど、頭にきた。
だってそうじゃん。
「
「それは仕方がないでしょう。お父さんは、お仕事なの。これとそれでは、話が
お母さんは、そう言うけど、なにが違うの。
お父さんは、もうしわけなさそうに、私を見てたけど、お母さんは
そんなのずるいじゃんか。
ますます、腹が立ってきた。
それなのに、お母さんは私の頭が、
「お母さんも、お父さんも、
お姉ちゃん。お姉ちゃん。お姉ちゃんって!
「好きで、お姉ちゃんになったんじゃないもん。それに、お母さんもお父さんも、大樹のことばかりで、私の話、まともに聞いてくれないじゃんか」
「
なによ。怒鳴ればいいってこと。
お母さんのお顔が鬼のように赤くなってるけど、私も同じ様に、真っ赤になる。
お母さんは私を責めてばかり、お父さんは黙り。
私はムカついて、ぷるぷると体が
私なんて、どうでもいいんだ。
だから、お母さんもお父さんも、こんなに怒るんだ。
私は、目もとを赤くしたまま。キッとにらんだ。
「どうせ、
「そんなことあるわけないでしょう」
「あるよ。だってお母さん、この前の小テストで、私、
「そんなことないわよ」
「あるよ。
どっかん。どっかん。
私の頭は
どろどろとした、真っ黒な感情が、もう
ジョバーと流れるプールのように、次から次へと、
もう、嫌だ。
私の目から、ポロポロと
「どうせ、私なんて、いらないんでしょう」
「
うっきー!
私は、だんだん、と足で何度も地面を
「お母さんも、お父さんも、大嫌い。みんな大嫌い」
私は大きな声で叫んだ。とたんに、大樹の泣き声がさらに大きくなった。
イライラする。
「大樹なんて、いなくなっちゃえば、いいんだ」
「
つい、言葉がでちゃった。それなのに、お母さんは私が悪いというように私の名前を呼んだ。
「いい
そこに、怒った顔で、お父さんも
私はびくりとした。
だって、
「
「うっ……」
(お父さんが、怒った)
私は
「
お母さんが、
もう嫌だ。
私の心はズキズキと痛んだ。
やっぱり、私なんていらないんだ。
「ううううう」
目の前が、ぼやけるほどに、涙が止まらなかった。
でもカフェは、すでに真っ暗だった。
暗いよう。ううう。椿君。
私はカフェの裏手に回った。
もしかしたらこっちにいるかもしれないと思ったから。
どうしよう。行くところが無いよう。
そう思うと、また、涙がぼたぼたとあふれた。
裏手は、最初に見かけた
きっと、こっちに住んでるんだよね。
「椿君いるかな」
私は不安になり、ぶ厚い扉の前で、立ち止まった。そして、ひかえめにインターホンを鳴らす。
ピンポーン。
「どちら」
少し
「……
私はしょぼくれた声をあげると、がちゃりと椿君が
「どうした。
私は、何も考えずに椿君に
「ふわぁあああん」
もう、お母さんとお父さんの所には、帰れないよ。
私は、わんわん泣いた。
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