第17話「反税連盟と七つの改税論」
アスクル=エデンの滅税政策が異世界全土に波紋を広げていた。
課税神殿イデア=セクトの崩壊に続き、不死税制度を運営していたネクロノミカも大幅な課税修正を受けたことで、既存国家の財政構造が軒並み動揺を見せ始めていた。
そんな中、ついに立ち上がったのが、複数の国家による共闘体――
その名も**
参加国は七つ。
いずれも“過去にクロウが打ち壊した課税制度”に深く関与していた。
1. 賦課王国ベルデシア
2. 売税商会ゾルティグループ
3. 聖課金帝政アレクテリオン
4. 不死都市ネクロノミカ(旧体制派)
5. 課税神殿残党派イデア=ロス
6. 負債民自治区ギル=メル
7. 東方連邦徴収院ナンヤ=ルーガ
彼らは集い、クロウとアスクルに対して最後通告を突きつけた。
「滅税制度の即時撤廃。違反すれば、全世界課税連合によりアスクルを包囲・徴税・更正処分とする」
クロウはその通告を、燃やして灰にした。
***
「反税連盟、ね……」
クロウは静かに微笑む。
「いいさ。ならばこちらも“理”で対抗する」
彼が手にしたのは、黒い
ラグズが編纂したこれには、未発表の改税理論が七つ記されている。
「この“七つの改税論”を、アスクルの新たな柱にする」
そして――七つの制度改変が宣言された。
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第一の改税論:「価値発生基準の相対化」
財貨に対する課税基準を“生産価値”ではなく“使用者の幸福度”へと切り替える。
これにより、高級品の課税が下がり、生活必需品を無償化。
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第二の改税論:「課税者選任制度」
国民が自ら“誰に徴税されたいか”を選べる制度。
統治者の信任と課税行為が直結することで、権力の透明化が実現。
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第三の改税論:「未納分散構造」
一人の未納を全体で支え合う“相互課税補完ネットワーク”。
滞納者が即座に罰を受けず、社会全体で補填しながら再建を促進。
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第四の改税論:「死後納税制度の破棄」
死者の残した債務の相続課税を無効にし、家族に負債を遺させない。
これにより、国家による“死の収奪”が根絶。
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第五の改税論:「人格分離課税の導入」
二重人格や魔導多重精神体に対し、人格ごとの課税ではなく統一課税とする。
精神的重複に対する課税差別を撤廃。
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第六の改税論:「罪課税の倫理審査制度」
犯罪歴への加算課税を認めず、司法と課税の完全分離を実現。
これにより課税を“道徳の罰”としない。
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第七の改税論:「未来課税の預金化」
将来生まれる子どもの税金を“前納”ではなく“預金”として扱う制度。
国家がそれを運用し、成長とともに還元される。
⸻
「この七つの改税論が受け入れられれば、世界の税制度は変わる。だが――」
クロウは立ち上がる。
「奴らは話し合いなど求めていない。次に来るのは、力だ」
***
反税連盟は、宣戦布告に踏み切った。
――アスクル包囲戦、開始。
ベルデシアの課税騎士団、ゾルティグループの納税傭兵、ギル=メルの負債魔導士……
多種多様な徴税軍団がアスクルの周囲を取り囲む。
一方で、アスクル側は税務官軍を組織し、新制度に基づいた防衛的滅税戦術を展開する。
「我らは武器をとるために戦わぬ。だが、記録を守るためには戦う」
クロウの声が、全市民の耳に届く。
「滅税とは、ただ税を否定することではない。“生き方”を問うことだ!」
***
戦端が開かれた――
空を覆う帳簿の竜巻。
地を割る課税杭の雷撃。
呪文ではなく、申告によって発動する
徴税官対滅税官。
税が力であり、信念であるこの異世界で、まさに理念と理念の戦争が始まろうとしていた。
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