怪盗団

 時は逆のぼり、二〇一四年八月一四日……怪盗達は、東京のどこかと、パリのどこかに集まった。(あいだに、テレビ電話がある。)かれらは、それまでライバルだった間だ。集まった者達は、怪盗七十七ななじゅうなな面相めんそうと、ねずみぞう十郎吉とろきちと、石川いしかわ二十衛右門にじゅうえもんと、ルパンの一の弟子と、怪盗マルセーロ・デュパンだ。かれらは、みな有名な怪盗とつながりがある。今回集まった理由は、最近けい察の取りしまりがきびしくなり、物を盗むのがむずかしくなったからだ。そこで、怪盗達で団体を結成し、アリバイを証明しあおうということになった。それを提案したのは怪盗七十七面相なので、かれが頭ということになった。だが、団体名が、なかなか決まらず、ぎろんとなった。

「バレないように、『階登団』はどうだ。」

 とねずみ子ぞう十郎吉。

「いやいや。新入団の者がわかんねえで。『ドロボー団』と書いて、ドを消せばいい。」

 と石川二十衛右門。

「そんな下品な名はいかん。高貴な『怪盗団』だ。」

とデュパン。それに一同大さん成し、名は『怪盗団』に決まった。そして皆はかいさんし、その後しばらくはアリバイの証明し合いだけだったが、二〇一七年になると共同で盗みを行った。

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