探偵達

こちらも東京。怪盗団が出来るころ、江戸川区に、社六しゃろく保六十ほむず探偵たんていが、助手の和十孫わとそん氏とともに、ホームズたん偵事務所を開く。だが、同じ部屋を予約して、買おうとしていた、織田おだ小六郎こむろう探偵も、織田探偵事務所を開こうとして、けんかになった。

「私が先に予約したのだ。な、和十孫。」

「あ、ああ」

「何をいう。イギリスかぶれのダメ探偵め。なら聞くが、お前はぜっ対変そうを見やぶれないだろう」

 そのうち、大家があきれて一部屋の中にしきりを作ったので、二人とも事む所を持てたが、その後二人はささいなことでけんかをよくし、仲が悪くなった。

 そのころ中央区……銀畑二ぎんばたにふたつ少年は、家に帰るとこう言った。

「まったく、怪盗団のアジトはどこにあるかなんてわかりきったことなのに、けいし庁のかたい頭の外町刑事は、ぼくが子どもだからってバカにして、耳もかしてくれない。そうだ。探偵事む所を作って、怪盗団のやつらを追いつめればいい。だけど、お金がない……そうだ‼こないだ江戸川区に来た社六探偵と織田探偵に、『怪盗団のアジトを二〇万円で教えるぞ』と言えばいい。あの二人は子どもに重要なことをまかせる探偵だから、きっと協力してくれるぞ。」

 そういうと彼は、いそいで二人の家へ行って、二十万円をもらい、自分の探偵事む所を作った。かれが気付いた怪盗団の場所とは……エッフェル塔の地下二五〇メートルだ。

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