同メイ! ~同盟を結んだ同姓同名の同級生をメイドにする話~

緑㋧ 夕べル

プロローグ

「南さん、僕の彼女になってください」僕はずっと好きだった同じクラスの南咲輝さんに告白した。


「「ごめんなさい。実は隣のこの人と婚約してるから」」

「「え?えぇぇぇぇぇ!?」」

結果はだめだった。さらに振られた後に追撃で俺のだめなところを言われまくった。そして告白相手の2人がいなくなり、俺が発した声は見事に隣の女子とハモった。

「「振られた」」

これ以上の言葉は出てこなかった。

「私には女らしさがないだなんて...」

隣の女子が小さな声でボソッと呟く。こいつは同級生の影本 碧。たまたま俺と同じ場所で告白し振られた俺と同姓同名の女子だ。

「なあ、一緒にあいつらを見返さないか?」

俺は先ほどの碧の呟きを聞き、とっさに声をかける。

「どうやって?」

碧からは少し興味深そうな返事が返ってくる。

「お前は花嫁修業をして可愛くなって告白を断ったことを後悔させてやればいい。俺はかっこよくなって告白を断ったことを後悔させる。どうだ?」

俺には碧は花嫁修業さえすればモテるという確信があった。なぜなら、碧は容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群というトリプルコンボなのだ。だが、そこを打ち消すほどの欠点が家事のできなさである。掃除ができないうえ、家庭科の授業で碧が作成したのはダークマターに似た何かだったからだ。

「でも、具体的にどうするの?」

碧から詳細な内容を求めるような質問が来た。

「それはだな...俺とお前が同盟を組んで、お前が俺の家の住み込みメイドになることだ!」

俺は考えた完璧すぎる案を碧に説明する。

「私にとってのメリットが家事の練習であることはわかったけどあなたにとってのメリットは何かあるの?」

確かに今の説明だと俺にとってのメリットを説明していなかったことに指摘され気付く。

「俺のメリットは...そうだな。お前に俺のどこに男らしさが足りないのかを定期的に教えてもらえることだ。」

俺は碧にそう返答する。

「よし、その提案のった。」

碧から返事が返ってくる。

「じゃあ明後日までに荷物をまとめてうちに来てくれ。部屋は用意しておくから。」

碧は首を縦に振り、急いで帰りの支度を進めている。

「なんでそんなに急いでるんだ?」

俺は興味本位で碧に質問をする。

「私は片づけるのも苦手だから準備するのに時間がかかるでしょ。だから急がないといけないの。」

その言葉を聞き、納得する。確かに碧だったら二日で準備を終わらせるにはめちゃくちゃ急がなければならないだろう。

「じゃあ明後日ここに荷物持って来いよ。」

俺は住所を書いた紙を碧に渡し、教室を出る。

明後日から波乱の同居生活が幕を開けるのだった。

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