第2話 エクスの全てを調べないと(使命感)
ストーカ、……もとい、四六時中隠れながらエクスをチェックしてますが、わかってることと言えば……
「エンツー!」
「お、エンツーじゃん」
「はは、エンツーまたワイズに負けたな!」
……どいつもこいつもわたくしの所有物(勝手に決めた)のエクスになんたる暴言を……
正妻(自称)として、ヤキいれてやろうかしら?
「あ、ユーノ!」
「ユーノ踏んでくれ!」
……わたくしに視線がいくとこれ。わたくしに嫌われたくないのなら、エクスにもそれ相応の接し方あるでしょうに。
とはいえ、わたくしはやはり人気ありますわよね。有象無象の連中に興味はありませんが、人気なのは気分良いですわね。
エクスもわたくしのファンになると良いですわ。
あ、エクスがお金落としてわたわたしてますわ! かわいい!
シャッターチャンスですわ!
パシャパシャ。
え? お前の方がファンみたいと?
黙りなさい! 正妻(自称)として未来の夫(勝手に決めた)の全てを知ろうとして何が悪いのですか!
え? 惚れてるのかって?
な、ななななな!
そ、そんなわけ、あるわけないでしょう?
でも? エクスがわたくしの下僕になり、生涯尽くすと言うのなら? 結婚してあげても? いいかなと? 思ったりなんかしちゃったり?
「ユーノ下僕にしてくれ~」
「エクス以外の下僕なんていりませんわ!! シッシッ!」
「ユーノ! おいらの嫁さんにしてやるんだな! ありがたく思うんだな!」
「死ねですわ」
「ぎゃあああなんだなあ!」
……とまあ、ウザイ連中をぼこぼこにしたわけですけども……
困った事にエクスを見失ってしまいましたわ。
一体どこに……
あ、いたいた。なんか立ち尽くしてますわね。誰かと待ち合わせとかしてるのかしら?
「エクス~」
ん? なんだか甲高い声……小娘ではないですわね……
げ……
「母様」
エクスがにこやかにその女を呼びましたわ。
……キイイイイ! わたくし以外に! わたくし以外にそんな素敵な笑顔を向けるなんて! 向けるなんて! 嫉妬嫉妬嫉妬~!
え? 母親ならいいだろって?
……甘いんですわよ!
なぜなら……
「はーいエクス、わたしの手作りお弁当よ! 食べさせてあげるからお部屋行きましょ!」
「母様……別にそんな……」
「ダーメ。将来的には奥さんになってあげるんだから、それくらいさせなさい」
……そう。このババア……
オホン。もといお義母様はエクスの妻になろうとしてるイカれた女なんですわ。
エクスとは血の繋がりが一切ない母親とはいえ、母として育てた子供に欲情してるババア……もとい女とかどうかしてますわね。
エクスの方も、前に確執があった後に和解できたから、ババアに強く出れないのかもしれませんけども……
なんかマザコンだったとも聞きますしね……
その辺は本編を見てくださいと言わなくてはならない気がしますわ。
https://kakuyomu.jp/works/16818093085691608517
……本編? 何言ってるのかしらわたくし。
「おいおいエンツーといちゃついてる女性誰だ? めっちゃ美人……」
「本当やあ……ユーノより美人……」
ああ!?
わたくしより美人ですって!?
聞きずてなりませんわね!
「美しすぎる……この世の者とは思えない」
「惚れた……」
愚民共の戯れ言ですけども、エクスの母、エヌエットは傾国の美女とも言われていたらしいですわね。
平民の出ながら、エクスの父に見初められ結婚したんだとか。数多くの貴族に言い寄られたとも聞きますわね
……ま、どーでもいいですけどね!
小娘だけでなく、このババアまでもと……ライバルがこれ以上増えるのは困りますわ。
「おほほほほほ! お困りのようでしゅわねお姉しゃま!」
ん? その声は……
きらびやかなドレスに身を包んだかわいらしい少女……いえ、少年。
わたくしのかわいい弟エストですわ。
「エスト、その様子だと、学園の入試受かったようですわね」
「おほほほ! 当然でしゅわ!」
エストはまだ学園に入れるような年齢ではありませんわ。
でもエストはとても優秀な子。我がリリス家きっての天才児ゆえに飛び級を重ねて、学園への入学基準を満たしたのですわ。
そして今日、試験を受けに来てたわけですわ。
「明日から他の新入生と共に入学! わたくちの魔王への道が開かれるのでしゅわ!」
「そう。応援しますわね。まあ、わたくしも負けはしませんけど」
「おほほほ! それよりお姉しゃま! 話を戻しましゅわよ! あのエクスしゃま、お姉しゃまの想い人なのでしゅわね?」
お、想い人!?
「な、ななななな! ち、」
「素直じゃないツンデレは飽きたのでスルーしましゅわ」
「え?」
「とにかく、わたくちにお任せあれ! でしゅわ! おほほほ!」
……まあ、弟を信用するのも姉の勤めですわね……
「おいおい! こっちにもかわいい子がいるぞ!」
「本当だ……か、可憐な美少女」
愚民共……エストを変な目で見……
「おほほほ! わたくちの色香に魅了されまちたか! 存分に見るがよいでしゅわ!」
ちょっとエスト……愚民共にサービスなど……
――つづく。
「かわいい弟が姉のために動いてくれるのは嬉しいことですわね」
「次回はエストの作戦でも聞きましょうかしら」
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