ユーノ・リリスの想い人観察日記

メガゴールド

第1話  観察の始まりですわ

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【永遠ナンバーツー!!外伝】

 本編永遠ナンバーツー!!

https://kakuyomu.jp/works/16818093085691608517

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「今日のティーはいささか、いまいちですわね」

「ですわね~」


 優雅にティータイムを嗜むわたくしと弟のエスト。ただ機嫌が良くないせいか、味がいまいちに感じますわね。


「も、申し訳ありません!」


 ガタガタ震えるメイド。別にそんなに怯える事ないでしょうに……

 わたくしってそんなに怖いのかしら?


「や、やめないかユーノ。成績が三位だったから、イライラしてるのだろ?」


 リリス家の当主たるわたくしの父が意見してきましたわね。

 

「なんですの? わたくしが八つ当たりしてると?」

「あ、いやそのだな」

「言いたい事あるならハッキリ言ったらどうですの父上」

「どうですの~?」


 かわいくわたくしの物真似するエスト。本当にかわいい弟ですわね。

 

 エスト・リリス。

 わたくしに似てとてもかわいい弟ですわ。わたくしと同じ女だったらさぞかしモテることでしょうね。

 ということで女装をよくさせてたのですわ。すると本人も気に入って、わたくしが二人になったかのような美人姉妹? になったわけですわ。


「ユーノが二人になるとか勘弁してほしいからエストは普通に育ってほしい……」

「お父様、何か言いました?」

「ナンデモアリマセン」


 わたくしが二人になることの何が不満なのか……

 お姉さまが二人になるよりはるかにいいでしょうに。


 

 ユーノ・リリス。それがわたくしの名前。


 魔王候補を養成するための学園夢幻学園に三位の成績で入学しましたわ。


 

 気に入りませんわね……


 かの有名な、鳴り物入りで入学してきた魔王筆頭のワイズ・デュラミスだけならいざ知らず……もう一人上にいるだなんて……


 二位の魔族の名前は……


 エクス・リコード。

 一体どんな奴……





 ♢




 ※本編30話参照。


 わたくしはある日、エクスと出会いましたわ……

 彼はワイズに敗北し、悔しさからか泣いてました……


 か、かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか……


 かわいいですわね!!


 その美しい顔を子供のように涙で濡らすその表情……

 興奮しま、……もとい、心に響きましたわ!


 泣かせたい。また見たい……


 わたくしはエクスを倒し、涙を流させたいとその日思いましたわ。



 ――でも、彼は強かった。


 わたくしより成績が上なだけはありましたわ。

 それが悔しくてしょっちゅう挑みましたわ。


 ……はっきり言って、その日々は楽しかったですわ。エクスもかわいい笑顔で答えてくれてましたし、彼も楽しんでるのでしょう。

 いや、わたくしと過ごす日々が彼にとってはかけがえのないものなのでしょう。ええ、そうに違いないですわ!


 ふ、ふふ。エクスったらわたくしの事が好きなのですわね……


 ま、まあ? 容姿端麗でわたくしと釣り合いますし? 家柄も良いですし? どうしてもと言うのなら? 結婚を前提とした? 婚約者に? させてあげてもよろしくてよ?


 だから告白でもしてくるといいですわ!


「ユーノ~好きだあ~」

「ユーノ様踏んで~」


 きいいいいい!!

 勝手に作られたファンクラブの虫共はお呼びでないんですわ!


 わたくしはエクスにしか興味ないんですわ!


 ……じゃなくて、釣り合いそうなのが彼くらいしかいませんからね~


 オーッホッホッ!


 ……それなのに、エクス……変な小娘とつるむようになったのですわ……


 シール・デュラミス……

 あのワイズの妹……


 エクスといつも一緒にいるだけで飽きたらず、わたくしに向かって……


「デーブ!」


 デブ? わたくしが? 容姿端麗頭脳明晰魔王筆頭完全無欠の麗しきわたくしに……デブ?


 小娘小娘小娘小娘嫉妬嫉妬嫉妬!


 あんな小娘と一緒にいるなど間違ってます。正妻(自称)として、エクスの事は観察しないといけませんわね……


 ということでこれからわたくしはエクスの事を日記に記していこうと思いますわ。


「お姉しゃま! 応援しますわ!」


 あらエストありがとう。


「……は、犯罪にならん程度にな……あまり家の評判落とす事は……」


 お父様何か?


「いえ……」




 ――つづく。



「あらゆる全ての情報を記していきますわ……ストーカーとか言ったら許しませんわよ?」


「次回はとりあえず、データを取る事にしましょうか」

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