第34話


「死ぬつもりか?」



耳元で、その言葉が聞こえ、ハッとした私は、背中から抱きしめられている事に気づいた。



「死ぬのを止めたりはしない」



感情のない言葉なのに、私の身体を抱きしめる腕を緩める事のない。



「……どうして……?」



そう言葉にするけど、何を聞きたいのか、自分でも分からない。


何も言わず、私の肩に頭を乗せ、首筋に舌先を這わせるのは……琥珀。


カブっと音が聞こえて来るくらいに、首筋を噛まれ、ビクッとする。


その後、噛んだ場所を、吸った。


まるで、吸血鬼みたい……?



太陽が沈み、月が、海を照らす。


神秘的な夜の海。



以前にも、こうやって、琥珀と一緒に夜の海を、見た事がある……?



それは……いつ……?



それさえも、琥珀に聞けないのは、琥珀が私の肩に頭を乗せたまま、何も話さないから……



結局、私は琥珀から離れて、遠くに行く事さえ出来なかった。


遠くに来たと思っても、違った。


あれだけ頭の中が、ズキズキと痛んでいたのに、琥珀に抱きしめられているだけで、嘘の様に痛みが消えている。



そう、これも昔からだった……?



頭に浮かんだ疑問符を見つけ、また疑問に思う。



昔って……いつ……?


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