第33話


全てが、分からない。


思い出せないはずなのに、断片的に浮かんで来るものに対して、恐怖心が沸く。



無になりたい。



ふと、そう思い激しく痛む頭の中を無視し、立ち上がると、一瞬、ふらついた。


それでも、小さな小屋から出て、波打ち際まで足を進めた。


いつの間にか、水平線の彼方に日が沈む。



まるでタイムスリップした感覚。



波打ち際に座り込み、ボーと沈む夕日を見ていた。



ずっと、ずっと、昔、誰かと、この風景を見た事がある……?



誰かって誰……?



余りにも曖昧で、霧がかかった様に思える。



思い出せない事が、恐怖。


覚えていない事が、恐怖。



私は、何の為に、生きているのだろう………?

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