第32話
…………昔………?
それって、私が、幼い時……?
ズキズキと、激しく痛む頭の中。
静かに瞼を閉じる。
目の前に広がるのは、多量の赤い鮮血。
そこに、塊の様なものがある。
膝を抱え、座っている小さな女の子。
右手には、真っ赤に染まったナイフ。
『あぁぁぁー!』
そう叫んだのは、幼い時の……私……?
『〇〇〇は、良い子。
だから、良い物をあげるわ』
誰が言ったのか思い出せないのに、女性の声だった様に思う。
その女性が、そう言ってから、私の右手に真っ赤に染まったナイフを握らせた……?
思い出せない過去は、全て憶測であり、推測。
黒い髪に、真っ赤な口紅、そして真っ赤なネイル……?
真っ赤に、染まったナイフの意味は……?
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