第31話


………ナイフを握っていたのは……私だ。



そう思ったのは、直感的な様なもの。



何故……?


どうしてナイフ……?



そんな疑問符を頭に並べて見ても……思い出せない。



ただ、自分の名前を知りたいだけなのに……



ズキズキと痛む頭が、今までよりも更にズキズキと痛み出した。


何かを思い出そうとすれば、必ず頭痛が起きる。



それは、昔からで……?


でも、昔からって、いつから……?



考えれば、考える程、痛みが増した様に思う。



私の名前は……?



知ってどうするの……?



知ったからと言って、琥珀は私の名前を、きっと呼ばない。


分かったとしても、無意味な様な気がした。


そう、ずっと、ずっと、昔から……

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