第6話


ズキズキと痛みを感じる頭の中。


髪も身体も洗わずに、そのまま床に座り、膝を抱えた。



シャワーのコックを止める事さえ出来ない……。



なのに、身体が僅かに震えているのが分かる。



何も覚えてないのに、夢で見た光景は、現実に起きた光景だと思うのは、私の錯覚……?



何もかもが、分からなくなる。



私は、どうして何も覚えていないのだろう……?



考えれば、考える程、痛み出す頭の中。



息の仕方は……?



ふと、シャワーの水が止まった様な気がした。


後ろから、何かをかけたれたような気もする。



「身体が、冷たくなっている」



その言葉が聞こえたと、同時に身体を抱き上げられた。



「…琥珀……私は……私が……」



震えるのは、私の身体。


寒いから、震えている訳ではない。


夢で見たものを、ただ確認したかった。



そう思う私の唇に、琥珀の唇が重なる。


私の身体を抱き上げたまま、琥珀の舌先が私の口内に入ってきて、私の口内で暴れ出す。


こうなると、私の頭の中は起動しなくなるのが分かっているから、私は舌先で琥珀の舌先に触れる。

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