第51話 VSバルガン①
『神着』
そう願うと、腕輪は美しい鳥の姿に変りそこから鎧に変り、僕の体に装着された。
この間、実際には僅か数秒だ。
『神眼』
元から鎧を着た僕は360度死角なく見渡せるが、この鎧の美しい羽の目に見える模様に集中する事で、どんな物も見る事ができる。
閉じた王城の門が破壊されている。
数百の魔物ですら壊せない門がひしゃげて転がり、その周りには騎士が数名倒れている。
その先に……いた。
居た……あれがバルガンか……
噂通りの恐ろしい存在だ。
筋肉隆々の大男……人間にしたら歴戦の屈強な戦士に見える。
だが、ただそれだけじゃない。
強者のオーラと言うのか、此奴と戦ったら死ぬ。
それが伝わってくる。
バルガンが王都に入って来て暴れている。
周りには……まだ、多くの人がいる。
『行かなくちゃ』
散々、死のうと思っていた僕の足が震えている。
だが、行くしかない。
僕は走り……王都の正門へと向かった。
◆◆◆
「もし、自分が強いと言うなら掛かって来るが良い!」
そう言いながら街を破壊していた。
噂通りだ……騎士や衛兵の死体は転がっているが一般人の死体は無い。
戦う力が無い物は殺さない。
実にバルガンらしい。
「バルガン、貴様ぁぁぁぁぁーー」
門を守っていた騎士が斬りかかるが……
グワッシャ。
鎧事一瞬で叩き潰されていた。
「此処には弱者しかおらぬのか! 弱者が幾ら来ようと俺には敵わぬ! もし、他に強者がおらぬのなら……勇者だ、勇者パーティを連れて来い!」
ここで行くしかない。
足が震えるが仕方が無い。
「お望みの勇者パーティが来てやったぞ! さぁ、バルガン掛かって来い!」
震えながら僕は叫んだ。
「勇者パーティ? お前がかぁ? どう見ても強者には見えぬ……何の魂胆か知らぬが、俺の前から立ち去るが良い」
見透かされた……
僕は冒険者としても普通。
一流には程遠い。
だが、体の震えが止まった気がする。
「剛腕のバルガン……お前が魔族の強者なのは知っている! お前に比べたら僕は恐らく虫けらだ……だが、それでも逃げられない時、戦わなければいけない時がある。今がその時だ!」
「行くぞ! バルガン!」
僕は走りだしバルガンを殴りに掛かる。
バルガンは逃げもせずに僕のパンチを顔面で受けた。
「ほう……威力こそないが、その気合を認めよう! この戦い! 一騎打ちで受けた……さぁ名を名乗るが良い!」
なんて名乗れば良いんだ。
この鎧は女神が造ったものだ......ならば......
「勇者パーティ、希望の翼……女神の戦士 ハデル……参る」
「ぷっ、ははははははっ、大きくでたもんだ! 女神の戦士とはな! 勇者でも解決できない様なじたいが起きた時に女神が地上に遣わせる希望の戦士……それがお前だと言うのか? この詐欺師め死ぬが良い」
バルガンの拳が僕に迫ってきた。
だが……見える、見える……ぞ。
その拳を避け、内側に入り込みカウンター状に顔面にパンチを叩きこむ。
「ふんむ! よくぞ躱した、そしてよく打ち込んで来た……だが、効かぬわ!」
確かに顔面、しかも真正面から鼻を殴った。
それなのに骨が折れるどころか、鼻血もだして無い。
「流石はバルガン……」
僕がそう答えるなり、凄い勢いでパンチが飛んできた。
ドガッ ドガガガガガガガガガガガガッ ガン……ガンッ。
僕は吹き飛ばされ、家を6軒ほど壊しながら突き抜け塀にぶつかりめり込んだ。
「これで終わりだ……お前如きが女神の戦士だと! お前が女神の戦士の訳がない。なぜなら数百年前に俺は女神の戦士を殺した……その時に女神の戦士レオンが言っていた。 自分が死んだ今、二度と女神の戦士は現れないと……」
勝手に名乗ったけど……本当にいたんだ。
女神の戦士。
まぁ、いいや……
しかし、この鎧は本当に凄い……こんな状況でも。
飾り一つ壊れてない。
「そうか……本当に女神の戦士に勝ったのか? お前も大した事無いなバルガン!」
僕は瓦礫の中ゆっくりと立ちあがる。
「今の一撃に耐えたと言うのか?」
「その程度の力で僕が止められると思うなよ!」
そう言いながらバルガンへ蹴りを放った。
ドガッ……まるで大きな岩を殴ったように動かない。
「ふっははははっ、お前を侮っていたようだ! すまぬ! 今の一撃によくぞ耐えた! ならば、ここからは本気で相手してくれよう」
バルガンが僕の元に走って来て腕を掴んだ。
「……!?」
「ふはははっ掴んだぞ! これで終わりだ!」
僕はひたすら足を使い蹴りを入れる。
「腕を掴んだ位で勝った気になるなぁぁぁぁーー」
「ふふふっ馬鹿め! お前と同じような力を持った奴と俺はさっき戦って来た……アランと言う者だ! 何かのスキルで俺の攻撃を無効化しているのであろう! 俺が腕を引き千切ってくれる」
バルガンが鎧事僕の腕を引っ張るが……痛くも痒くもない。
ドガッドガッドガッ
だが、幾ら蹴とばしてもバルガンには通じない。
どうすれば……うん!?
この鎧は鳥を模していて頭部には鋭い嘴がある。
その嘴をバルガンの頭部めがけて頭突きした。
ドガッ
「くっ」
バルガンの額が傷つき血が流れてきた。
流石に尖った部分がぶつかれば傷位はつくようだ。
「油断したなバルガン!」
「クソッ……」
バルガンが腕を離し、距離をとった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます