第42話 鎧の力


「ハデル、それでどうだった?」


ハウスに戻るとライトにそう聞かれた。


「ライト様、いや、ライトこの鎧の実力は本物だったよ! オーガ相手に無傷で戦えました」


「うん!? ハデル、ライトって今呼んだ?」


「はい、リメル様、いやリメルに出来たら敬称を外して呼ぶように言われましたので......」


「へぇ~リメルがねぇ。うん、だけど私も、そう呼んで貰った方が嬉しいな。それでもう一度呼んでくれないか? ほら……」


「ライト……」


「うん、それじゃこれからはライトって呼んでね」


「あーーっ! ライトばかりズルいよ! だったら私はお姉ちゃん。お姉ちゃんって呼んで欲しいなぁ」


少し抵抗があるけど、仕方ないか。


「……お姉ちゃん……これで良いですか?」


「うん! ハデルはいい子だね。お姉ちゃんが頭を撫でてあげるよ」


そう言うとリリア様……いや、リリアは僕の頭を撫ではじめた。


「あの、本当に良いんですか?」


「仲間なんだから、良いんじゃない? それじゃ、私もこほんっ、マリアンヌって呼んで欲しいな」


「え~と、マリアンヌ……」


「はい、良く出来ました」


四職相手に敬称をつけないなんて……


凄く、話しにくい。


「それで、ハデル話を元に戻すけど、その鎧そんなに凄いんだ」


「はい」


僕はオーガ相手に起きた事を三人に話した。


◆◆◆


話が終わると、ライトから『実際にその能力を目にしたい』という話が出て王都の外の草原に来た。


「此処まで、くればもう大丈夫だろう。ハデル、早速だけど鎧を纏ってくれるか」


「はい」


僕が心で『纏う』事を願うと腕輪は鳥になりそこから、僕の体へと装着されていった。


「それじゃ行くよ! 万が一があってもマリアンヌが治療してくれるから大丈夫だから」


「それじゃ、お姉ちゃんから、ウィンドカッターーーっ」


無数の風の刃がリリアの杖から放たれ僕にあたったけど……


バシュッ、バシュバシュ。


ぶつかった衝撃で吹き飛ばされたけど、怪我はしていない。


「大丈夫そうです」


「そう、ならまだまだ行くよーーっ。ならこれでどうかな? アースブリッドにウオーターカッターー」


拳大の岩の塊と水の刃が迫ってきたが…….


ドガドガドガッ、シュパッシュパッ


さっきと同じで衝撃は感じて、今度も後ろに吹き飛ばされたけど鎧は元より僕も無傷だ。


「大丈夫です!」


「その鎧、本当に魔法に弱いのかな? 全然攻撃が通らないみたい……だったら、ファイヤーボール」


火球が杖から飛んできた。


僕はその火球を手ではたくと、火球は僕の前の地面にめり込んだ。


「全然魔法が通じないじゃない! その鎧魔法も効かないんじゃないの?」


「リリア、忘れていない? その鎧は『物理』には圧倒的に強いのよ。私ファイヤーボール位なら防ぐってちゃんと話した筈だわ。 その鎧が防げないのはファイヤーストームや極大魔法みたいな大技よ」


「あっ、そうだったっけ……あはははっお姉ちゃん、すっかり忘れていたわ。それじゃハデル。手加減するから、行くよーーっ」


まさか……


「これが賢者の私が使える、最強にして最大の奥義……極大魔法……いけーーっ」


大きな魔方陣が空中に無数発生して、それらが僕に落ちて来たかと思ったら大きく爆発した。


こんなの防げるわけない……


ドガガガガガッドガ――――――ンッ


バンバン、バキバキッ


爆発に巻き込まれ、何本もの巨木にぶつかり、折り続け……ようやく僕は……止まった。


「リリア、やり過ぎだっ! マリアンヌ、すぐに回復」


「ええっ」


「うわぁ……わたし、わたし……どうしよう? ハデル、ハデルごめん……」


「いえ、どうやら大丈夫そうです」


「「「ええっ」」」


鎧事吹き飛ばされたけど鎧も僕も無事だった。


「マリアンヌ、これはどう言う事なんだ?」


「魔法には弱いって聞いたけど……おかしいわね」


「だけど、私の極大魔法に耐えるなら、魔法も通用しないって事じゃないの?」


この鎧、魔法も効かない……そう思ったんだけど……それは間違いだった。


◆◆◆


「これが魔法に弱いってことなのか……だけど、弱いっていえるのかな」


「そうね、リリアの魔法のうち4つ……それには確かに弱いけど、欠点といえないわね」


「そうだよ……逆にこれ以外は一切通じないんだから」


あの後、色々な攻撃を受けたんだけど……


ホーリーカッターを含む聖女の攻撃呪文、勇者の聖剣を使った奥義光の翼すらこの鎧は耐えきった。


この鎧に通じたのは、ファイヤーウオール、ウオーターウオール、アースプリズン。アイスプリズンそれらにはなすすべが無かった。


炎の壁に囲まれると鎧は耐えられても中の人間は耐えきれず火傷をする。


水の中に閉じ込められたら窒息しそうになる。


土に埋められてしまったら身動きがとれない。


氷の中に閉じ込められたら、身動きとれず恐らく凍死する。


「ハデルの言う通り、素晴らしい装備だったね」


「そうね、普通のやり方じゃ、その鎧を攻略できない。凄いわ」


「確かに、お姉ちゃんならその鎧を攻略できるけど、弱点を知ったからだね。 あの4つの呪文は普段は使わないし……普通は幾つか魔法を使って効かなければ、魔法が通用しないって思うよ」


「今日は練習につき合ってくれてありがとうございました」


「お礼なんて要らないよ! 仲間と訓練をするのは当たり前の事なんだから」


「そうよ、ハデルに手伝って貰う事もあると思うからお互い様だわ」


「うんうん、今度はお姉ちゃんにつき合ってくれれば良いんだから」


皆、良い人ばかりだ。


◆◆◆


「ふ~ん、皆して、僕が昼寝している間に何処行ってきたのかな?」


「え~と訓練です」


「訓練なら僕が手伝うって言ったよね?」


「ごめんなさい……」


「まぁ、良いけどさぁ」


その日、リメルは夕飯のオムライスが出るまでずうっと不機嫌だった。







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