第30話 変わらない
なんでこのパーティが評判が悪かったのか全然分からない。
噂とは本当にあてにならないな。
勇者ライト様は……女とお金にだらしがなく、ハーレムパーティにする為に何人もの男のメンバーを追い出したって聞いたけど男の僕にも凄く優しい。『依頼に何回も失敗し男女問わずに沢山の犠牲を出した事から今では鼻つまみ者になった』とも聞いたけど、そもそも勇者パーティなんだから危ないのは当たり前なんだと思う、人類最大の敵魔王、魔族と戦っているんだから常勝なんて無理な話だ。敗北するのは時の運仕方ない事だと思うんだ。
実際、僕も2回も死に掛けたけど、その都度適切に対応してくれ ている。
明るくて優しくて本当に素晴らしいリーダーだと思う。
剣聖リメル様は……確かにすぐに突っ込んでいく。
『今迄何回パーティを危険に晒したか解らない』と聞いたし『リメル様の盾になり、沢山の犠牲者が出た』とギルドから聞いたけど、これは絶対にガセネタだよな。だってリメル様はいつも一番最前線で戦っているんだから。
聖女マリアンヌ様は……本当に誰にでも優しくまさに『癒しの女神』みたいな人だ。『外面が良いだけ』なんていうが僕と一緒に良く慰問に行くし、僕の居た施設も助けてくれた。このパーティではサブリーダーみたいな存在なのだから、 勇者であるライト様の意見を肯定するのは当たり前だ。回復魔法もライト様や自分達が優先になるのは当たり前だ。 だってその他大勢じゃ魔王に勝てないのだから……チェスの駒で言うとキングなんだから、その他大勢と差があるのは当たり前の事だ。
それは雇用に書いてあるんだから、守らない冒険者達が悪い。
賢者リリア様は……確かに作戦立案はしないけど、それはその役をライト様がするからだ。 火炎魔法や大規模魔法もしっかり使っているし、ちゃんと僕を避けて放ってくれている。
話が全然違う。
それに……僕が命に代えても守りたかった施設の皆を助けてくれた。
その事からも冒険者ギルドの噂が全部嘘だったのが分かる。
このパーティは凄く居心地が良い。
施設の皆が僕の家族みたいな物だったけど、このパーティの皆もまるで家族みたいだ。
だから僕は……この恩に報いる為に今度は『違う意味で命を賭けよう』そう思うんだ。
◆◆◆
ハデルに買い出しに行って貰っている間、三人と私は話し合いをしている。
「凄いな……ハデル」
「本当に凄いわよ! 今回の討伐で、ヒール12回 ハイヒール4回。それが全部私達を守る為なんだから、驚きだわ」
「僕は剣聖、それなのに今日は2回も守られちゃったよ! 本当に守るために体が反応する。そんな感じかな?」
「だよね。私が少しでも危なくなると飛んできて守ってくれるんだもん。本当に今迄のクズ冒険者と違うよ。うんうん、カッコ良いよ」
「「「「ハァ~」」」」
ハデルは本当にカッコ良い。
外見とかじゃなくて中身が男前なんだよね。
勇者パーティの私達を『守ってくれる』そんな存在が本当に現れるとは思わなかったんだ。
怪我をし傷だらけになりながらも私達を守る。あの姿、どうしても目で追ってしまう。
ハデルを前に歩かせると三人とも赤い顔でハデルを見ている。
勿論、私もそうだ……
ただ、私達を守る為に傷つく姿を見るのが、最近少し辛くなってきた。
特にマリアンヌとリリアは顔を青くしている事が多い。
『装備』そうだ、装備だ。
ハデルが傷つかないようにもっと良い装備を……いや、最高の装備を用意しなくちゃ。
そうしないとハデルが死んじゃうかもしれない。
「それで、このままだとハデルはそのうち命を落としかねない。できるだけ、良い装備を……」
「うん、僕も賛成」
「あとで防具屋に見に行こう」
「それ、少し待って貰える」
「「「えっ」」」
マリアンヌまた抜け駆けするんじゃないよな。
「マリアンヌ、それはどうしてだい?」
「教皇様がハデルの施設を助けるだけじゃなく、褒美をハデルにくれると言っていたわ。 何をくれるか分からないけど、教皇様なら状況から考えて防具や武器を下さる可能性も高いわ。それを待ってからにした方が良いんじゃない?」
「そう言う事なら教皇様からの褒美を待ってからの方が良いか」
リメルにリリアも横で首を縦にふる。
しかし……ハデルはハデル。
目的を果たしたから、もしかしたら変わるかもと思ったが。
何も心配する事は無かったな。
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