第29話 不安解決


魔法電報で教皇様へ直に連絡したからか、すぐに通信水晶に連絡が入ったわ。


この通信水晶は特別の魔道具で緊急事態以外はこちらからは使えない。


『それで、聖女マリアンヌ、どう言った事でしょうか?』


いきなり、ロマリス教皇様!!


いや、勇者パーティ絡みだからあり得たのかな。


『はい、それが……』


ハデルの現状についてしっかりと話した。


『勇者パーティの為に2回も命を投げ打つとは、殊勝な心掛けですね。 宜しい! その少年の願いを叶える事にしましょう。ホーリースターの経営者、およびその施設の子供たちを中央教会の経営するホーリライトシェルターで受け入れる事にします』


『ありがとうございます! ですが、ドドハン男爵との話し合いもせずに問題にはならないのでしょうか?』 


『魔王討伐は世界の最重要事項。 その為に命を賭ける少年への褒賞……拒むのであれば男爵位破門してしまえばいいのですよ。教会から破門されれば爵位を失うのですから、余程の馬鹿じゃ無ければ逆らいませんよ』


相変わらずロマリス教皇様は『勇者絶対主義者』で『魔王討伐主義者』だわね。


勇者や聖女は神の使いだから偉い。


魔王討伐は人類最大の目的だから最優先。


だから、この二つが絡んでいれば絶対に動いてくれる。


そう思っていたけど……まさに、思った以上だわ。


『ありがとうございます』


『ホーリースターには、聖騎士隊を護衛につけ馬車をもう向かわせました。 ドドハン男爵への手紙を添えていますから、もう安心して下さい。そのハデルという少年にも『安心してこれからも勇者パーティの為に、しいては魔王討伐という目的の為にこれからも励みなさい』そう伝えて下さい。 そうですね、教皇である私が礼を言っていた事と、別に褒美も与える旨もお伝え下さいな』


『ありがとうございます』


『では、名残惜しいですが、これは長くは使えないので』


そう言うと通信水晶は切れた。


まさか、こんなに早く動いてくれるなんて……


まぁ、勇者パーティ絡みだからですね。


ロマリス教皇様は勇者絶対主義者。


勇者が喜ぶ事ならなんでもします。


そして、そのロマリス教皇様が勇者ライトの次に好いているのが聖女の私です。


勇者と聖女は『聖』属性。


女神の使者……代行者、特別な存在として扱う派閥です。


その二人からのお願いですから、聞いて貰えるとは思っていましたが、まさかこんな早くとは思っていませんでした。


さてと……ホームに帰りますか。


◆◆◆


「マリアーヌ。どうだった?」


ホームの前でライトが何故か待っていました。


「すぐに通信水晶で教皇様から連絡があったわ。 早速、ホーリースターの経営者、およびその施設の子供たちを中央教会の経営するホーリーライトシェルターで受け入れてくれるそうよ!」


「そうか……」


「他にも、何か褒賞が貰えるみたい」


「凄いじゃん……それじゃ、早速ハデルに話そうか?」


「そうね」


「さぁ、行こう!」


?! どうしてハデルへの報告にライトが付き添おうとするのかな?


「うん? どうした? マリアンヌ。さぁ報告しよう」


ドアを開け中に入るとソファでリメルとリリアが寛いでいました。


相変わらず露出が激しいですね。


「ライト、マリアンヌお帰り」


「お帰りぃ~」


「ただいま……」


ハデルは......


「あっ、ハデル、君に朗報があるんだ。君の施設ホーリースターの事なんだけど、今日は暑いね! そうだ、男同士、風呂で汗でも流しながら……」


あっ、ライトまさか、抜け駆けしようと......


「僕の施設の話ですか?」


「うんうん、そうだよ! さぁお風呂で……」


やっぱり、ライトの奴……まさか手柄を独り占めする気!


そうはさせませんわ。


「ハデル、もう施設の事なら安心していいわ!『私が』ロマリス教皇様にお願いしてね。ホーリースターの経営者、およびその施設の子供たちを中央教会の経営するホーリーライトシェルターで受け入れてくれる事が決まったわ。既に、聖騎士隊を護衛につけ馬車も向かわせたそうだから安心していいわ。詳しい事を教えてあげるから、ほら来なさい!」


「はい!」


「マリアンヌ、酷くない? 私の……」


「抜け駆けしようとしたのはライトでしょう?」


「それじゃ、私も交えて……」


「ねぇねぇ、それなんの話?」


「ホーリースターってハデルの育った施設だよね?」


全くもう、リメルにリリアにも聞かれちゃったじゃない。


こうなったら、もう皆の前で話すしかないわね。


「ハデル、もう施設の話は片付いたわ。 詳しく話してあげる」


そう伝えると私はソファに腰掛けた。


◆◆◆


私は一通り簡単に説明しました。


「というわけで、もうハデルの育ったホーリースターの事は気にしなくいていいわ」


「本当ですか?」


「ええっ、ホーリーライトシェルターに関係者を含み子供たちも全員入る事が確定したわ。ホーリーライトシェルターはね聖教国が運営している施設でいわば国営だし最高責任者は教皇様だから、もう安心よ! 」


「本当に……本当に……ううっ、マリアンヌ様ありがとうございます……本当に、本当に感謝します。本当にありがとうございます」


余程心配だったのね。


いきなり、泣き出して、もう。


「ホーリーライトシェルターは本当に凄いのよ! 半分学園を兼ねているからね、ちゃんと教育もしてくれるし、子供たちの適正をみて当人が望むなら、騎士や役人への登用もあるわ。私も昔慰問にいったけど、給食もおいしいし設備も最高よ。プール迄ある児童施設はなかなか無いわ。 それに、中央教会から近いから治安も良いし、魔族も気にせず暮らせる。最高の場所だと思うわ」


「そんなに凄いのですか!」


目をキラキラさせちゃって……ふふふっ、自分の事以上に施設の子達なのね。


聖女としても花丸あげちゃいます。


「帝国や王国にも同じような施設はあるけど、私はホーリーライトシェルターが一番だと思うわ。国営だから、必要な物は国が用意してくれるし、なんならちゃんとお小遣いも皆、貰えるから仕送りももう必要ないからね。これからは稼いだお金は全部自分の為に使いなさいな」


「マリアンヌ様、本当にありがとうございます……」


「気にしなくていいわ。ハデルは本当に頑張っているから」


「私もそれなりに手を貸したんだ」


話し合いの結果、私が動いただけじゃない。


まぁ、名前を使ったから協力してないとは言わないけど……さぁ。


「ライト様もありがとうございます」


「私は勇者だからね、こんなのはお茶の子さいさいさ」


「「……」」


ふふっ、リメルとリリアがじぃ~ちこちらを見ているわね。


幾らお色気を振りまいても無駄よ。


だって、ハデルが一番幸せそうにしていたのは『慰問』していた時だもの。


「ハデルぅ~困っていたなら僕に言ってくれたら良かったのに」


「うんうん、お姉ちゃんに相談してくれれば良かったんだよ」


「なんだか、スイマセン」


2人に相談しても......多分意味ないわ。


「それで、リメルやリリアに相談したらどうしたのかしら?」


「私もリメルやリリアに相談しても解決しないとい思うけど?」


二人に私達以上の伝手はないと思うけど……任せたらどうしたのかしらね。


「僕、剣聖だよ? どうにか出来たって」


「うんうん、私だって出来たよ」


「そう? まぁ、もう解決したから関係ないわ」


絶対に何も考えてないわね。


「とりあえず、もうハデルは施設の事を気にしないでいいわ。これまで通り頑張って」


「はい」


後は……これでハデルが変わらないと良いんだけどね。

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