第31話 女神の鎧
それから三日後教皇様から褒美の品が送られてきたんだけど、ちょっと困ってしまいましたわね。
聖女の私からしてこれは良い物かどうか微妙ですね。
「まさか、これを送ってくるなんて」
「マリアンヌ、それは確かユノーラの鎧じゃないのか?」
「あっ、それがハデルへの褒美ってやつだね。凄く綺麗な腕輪じゃない?」
「それ、腕輪にしか見えないけど、どうして鎧なの?」
確かにこれは聖属性の物の中で最高と言われる物だけど……
う~ん困ったわね。
確かにこれは素晴らしい装備だけど、欠点も多いのよね。
それにこれを選んでしまったら、もう後戻りできないわ。
「あのさぁ、さっきからなんで二人して変な顔しているの? ハデルが教皇様から防具を貰えるなんて良い事じゃない?」
「うんうん、それ聖属性の素晴らしい防具に見えるよ」
「リメルにリリア、これは確かに良い物だけど、欠点が多いんだよ」
「そうよね」
そう……これは本当に素晴らしい物だけど、人によっては『呪われている』って人もいる。
一癖も二癖もある防具なのよね。
「そう? 僕にはそうは見えないよ!」
「うん、私にも、凄い聖属性の防具にしか見えないよ」
「確かに、これは凄い防具であり、武器だけど欠陥だらけで制限が多いのよ」
「うん、私もこれは装備したくない」
「マリアーヌやライトが言うのなら、なにかあるんだよね」
「聞かせて」
「実はね……」
ユノーラの鎧
今でこそ女神イシュタス様を崇める一神教だけど、そうなる前に世界を治めていた女神の1人ユノーラによって造られたという鎧。
ユノーラが好んだ伝説の鳥クジャクをモチーフに造られた神級の防具。
但し、ユノーラは『嫉妬深い女神』
そのせいか、ユノーラの造ったこの鎧を纏った者は『他の装備』を一切身につける事は出来ない。
持ったり、身に着けるとまず弾いてしまう。
それでも無理に持とうとすれば、火傷するような熱さと痛みを味わう。
つまり……どんな素晴らしい装備を見つけてももう手にする事は出来ない。
『呪い』と呼ばれる理由はそこにある。
しかも……身につけたら最後、死ぬまで装備は外せない。
それじゃ女神が造った物だから凄いかと言えば……確かに凄い。
基本、不破だし、壊れても自己再生する。
これは他のいかなる聖なる装備にも無いもの。
それじゃ、不破だから如何なる攻撃も効かないかと言えば、そうでもない。
例えばこの鎧を着た状態でドラゴンブレスを浴びると鎧は無事だが中の人間は死んでしまう。
簡単に言うなら『フライパンの中の肉』と同じ。
焼ける物は焼ける。
その代り如何なる武器でも傷がつかない位固いので、剣げきや槍、弓矢なら聖剣クラスの攻撃でも防ぐ。
つまり……物理に強いけど、絡め手なら攻略が可能な『凄い装備』とも言えるもの。
「こんな感じなのよ」
「だから、扱いに困る装備なのさ。かといえば神級装備だから滅多な人間には渡せない……確かに褒美だけど、ある意味押し付けかも知れない……」
「ねっ微妙でしょう?」
「でも、それって僕の魔剣の一撃も効かないと言う事だよね」
「ええっ、その代り、リリアの魔法のファイヤーボール位なら防ぐけどファイヤーストームや極大魔法を食らうと鎧は無事だけど中のハデルは死ぬわ」
「結構微妙だろう?」
「「そうね」」
結局話し合いの末、この装備はハデルに任せる事にしたの。
◆◆◆
「こんな凄い装備貰っても良いんですか?」
ライト様達4人に呼ばれリビングに向かうと、腕輪について説明を受けた。
ただの庶民が教皇様から褒美が貰えるのにも驚いたけど……
それ以上に神級の装備という話を聞いて驚いた。
「ハデル、良く話を聞いた? 本当にこれ装備する気?」
「ええっ、素晴らしいじゃないですか?」
「「「「素晴らしい?」」」」
なんで驚いているんだろう。
神級どころか普通は伝説級の物ですら一般人には縁がない。
S級冒険者になっても伝説級の装備ですら普通は持てない。
多少の欠点はあっても神級で不破の装備なんてこのチャンスを逃したら持つ事なんて出来ない。
「そんな素晴らしい装備まで貰えるなんて……凄く感動してしまいました。 これまで以上に頑張ります……本当にありがとうございます」
施設を助けてくれて、今度は褒美まで、大きな恩過ぎてどうやって返したらいいのか……僕にはもう分からないな。
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