三話 龍山家の従者

龍英城りゅうえいじょう将軍の間前─


「ふぅ〜、パパ達に心配させちゃったな〜」


父と弟(主に涼介)に注意をされ終え、将軍の間をあとにする青蘭せいら


四種通よんしゅどおりの街道修復もがいの皆にやらせちゃってるし……」


「…………さ〜ま」


あたしが戻っても皆を困らせちゃうだけだしな〜」


「……め〜さ〜ま〜」


「?……この声」


かすかに聞こえてくる声に反応した青蘭。その声は後ろから聞こえてきた。声の主は全力疾走でこちらに向かってきていた。


「ひ〜め〜さ〜ま〜」


「あ、芽瑠めるちゃん。どうしたの?」


「どうしたもこうしたもありません!この時間は他の国の知識を深めるためお勉強するとご自身でおっしゃっていませんでしたが!?」


「…………そうだっけ?」


「そうだっけではありませんよ〜。そのために講師役としてぇ……あ、あわわわわ」


芽瑠はとある人物を見かけ、顔を青ざめ恐怖に怯えてしまった。


「こちらにおりましたか、姫様。………それに芽瑠」


「おおおおお、お祖母様!!!」


「芽瑠……仕事中はメイド長と呼ぶようにと何度も言っておりますが?」


「ひぃ!!!!も、申し訳ありませんメイド長!!」


メイド長に恐れおののく芽瑠。それもそのはず、メイド長でありながら芽瑠の祖母。名前は永麗ながれ里実さとみ。以前は龍守隊りゅうしゅたい隊長を務めていた凄腕の龍人でもある。


「お時間が過ぎても姫様がいらっしゃらなかったので芽瑠に探させに行かせたのでしたが、その芽瑠もいつまでたっても戻って来なかったのでこうしてわたくし自ら探しに来た次第です」


「ひぃ!」


里実の言葉に怯える芽瑠に対して


「そっか、メイド長申し訳ありません。私が約束を忘れちゃったのがいけませんでした」ぺこ


自身の非礼を詫びる青蘭。顔を上げ、里実の顔を伺うと、瞬きするまもなく里実は青蘭の背後に回り、青蘭の首元に狙いを定め手刀を繰り出した。


バシッと大きな音が廊下に響き渡った


「……姫様お見事です」


青蘭は里実の手刀を掌で止めていた


「いや結構危なかったよ。もう少し反応が遅かったら技を受けてたよ」


「確かに……。ですが、私の攻撃を咆哮ほうこうで受け止め、攻撃を跳ね返すとは……恐れ入ります」


「いや〜、師匠の尾振びしんもまだまだ現役げんえきだね」


「姫様と龍人拳りゅうじんけんの熟練度が違いますからね」


二人は満足そうにしながら会話を続けているが、一人置いてけぼりになり、ぽかーんと口を開けたまま硬直している芽瑠。主と祖母のやり取りを見て心ここにあらずの芽瑠に


「芽瑠、貴方も今の動きができるよう日々技を磨きなさい」


「……え?」


「……返事は」


眉間にシワを寄せて芽瑠を睨む里実。怒りの表情の祖母の圧に耐えられず、芽瑠は


「あ!はい!!お祖母様!!」


「呼び方!!」


「申し訳ありません!!メイド長!!!!」


再び叱られるのであった。


「師匠ごめんなさい。またお時間を取ってもらって歴史の勉強をさせてください。今度はしっかり覚えておくので」


「ええ、姫様の夢のためこの老人が役立てるなら、何時でもお待ちしております。なんなら今でもよろしいですよ?」


「ごめんなさい。これから私が半壊させた街道の様子が気になって見に行こうと思ってるから……」


「なるほどそれは致し方ありませんね。なら私はこのあと孫に礼儀の作法を叩き込むとしましょうか」


「ひぃぃぃぃぃ!!ひ姫様、わたしもごいっ……」


と主に願いを聞いてもらおうとしたが、当の主は颯爽と消えていった。


「姫様のバカァァァァァ!!!!」


芽瑠の無残な声が城に響き渡るのであった。


─龍守隊隊舎 隊長室─


先程の反乱で得たとあるものの資料を真剣に見つめる操弥みさおみ


コンコンッ


「入れ」


「お仕事ご苦労さま」


入ってきたのは将軍 泰青たいせいであった


「将軍でしたか!!申し訳ありません。わざわざ隊舎の方まで来てもらって」


「いいさ、それに隊長室じゃないと話せない内容だろ?」


「……はい。……とりあえずこれをご覧ください」


操弥から受け取った資料を確認すると


「これは……またこの怪しい薬かい?」


資料に記載されていたのは黒い錠剤の絵と薬を所有していたものの名前


「はい、反乱を起こす者たち全員が所持していました。医療院で薬の検査しておりますが成分に関してはまだ何も分かっていません。もちろん族達が使用していたのかも検査しております」


「この薬……何か嫌な予感がする」


泰青は資料をじっと見つめ、これから起こる不吉な予感を感じ取っていた

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龍姫よすすめ!! 季更来 夏春 @kibiki0703

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