『陽炎を追い僕は永遠になる
線路の向こう踏み出して夏』
陽炎という言葉からは別れだったり、旅立ちだったり、遠く見えないものを連想します。陽炎が「永遠」にかかることによって、より儚い切なさを演出しているようです。永遠を人生の中で手にすることは不可能であり、それを唯一可能にする行動が陽炎を追うこと。陽炎とは『僕』が失くしてしまった大切な何かのことだと思います。人なのか物なのか形のないものなのか。陽炎という表現がその対象についても揺らぎを与えてくれているようです。
陽炎という『僕』にとって大切なもの。それは、自分を構成する半分かのような存在。春夏とあと半分の秋冬を半分失くしたままでは越すことができなかった。夏の熱さが充満するホームで駅のホームで見えた『陽炎』に大切なにかを見出してしまったあとはもう、次の季節へと歩みを進める。線路の向こうへと踏み出すのは、今も変わらないものを追いかけるため。
そんな映像とストーリーが浮かぶようでした。
夏らしさと幻想的な陽炎の見え方が綺麗に混ざりあうような言葉の積み上げ方が好きな歌です。
素晴らしい作品をありがとうございました。