第9話『自覚した気持ち』

静かな午後、私は生徒会室の窓辺に座りながら、風間くんと奈々の様子を遠くから見つめていた。


心の奥底で、私はずっと気づいていた。彼に対して抱いていた感情は、ただの友情や義務感だけではないことを。


しかし、その気持ちを認めるのは、簡単なことではなかった。私はいつしか、彼のことを特別な存在として見つめていたのだと気づいた。


だけど、今はそれを隠す必要はないと心に決めた。彼らの幸せを願うことこそ、私にできる最も大切なことだと。


「風間くん、奈々……」静かに呟きながら、私は微笑んだ。


彼らが互いに向き合い、少しずつ距離を縮めていく姿を見て、私は心から応援したいと思った。


たとえ、自分の気持ちがどうであれ、彼らの未来が輝かしいものであることを願ってやまない。


私にできることは、ただ静かに見守ることだけだ。


それが、今の私にとって、最も大切な役割だと信じている。

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