第8話 『会長は動揺する』

生徒会室の扉が静かに閉まった瞬間、私はノートパソコンの画面に集中しながらも、耳を澄ませていた。


あの二人のやりとりはいつも通りのように見えたが、何かが違う。奈々の声が少しだけ震えている気がした。


やがて、彼女が静かに、でも真剣な表情で何かを伝え始めた。


「実はね…」 その言葉に、私は思わず息を呑んだ。


彼女の顔は少し赤らんでいて、普段の冗談っぽさは消え、まるで本気の告白のようだった。


その瞬間、私は心の中で叫びたかった。

「まさか……」


風間くんは一瞬戸惑った様子だったが、すぐに静かに頷き、外に出る準備を始めた。


私はその背中を見つめながら、複雑な気持ちになった。


彼女の真剣な瞳、そして、あの一言。


まるで、私の知らない何か大切な秘密を見てしまったかのような、胸のざわつき。


(……あいつら、何を企んでいるんだ?)


心の中でそうつぶやきながらも、私は静かに、彼らの行く先を見守るしかなかった。


この瞬間、何かが変わる予感がした。

それは、きっと、私たちの関係も……。


奈々の真剣な表情と、風間くんの戸惑いながらも決意を見せた姿が、頭の中でぐるぐると回る。


彼女の告白は、まるで静かな波のように私の胸に打ち寄せてきた。


「……あの二人、ただの友達じゃないのかもしれない」


私はゆっくりと席に座り、深く息をついた。


心の奥底で、何かがざわついている。


(これは……ただの文化祭の準備だけじゃ済まない気がする)


彼らの関係が、少しずつ、確実に変わり始めているのを感じていた。


そして、私はその変化を見守るしかないと決めた。


ただ一つだけ確かなことは、これからの生徒会室は、今まで以上に何かが動き出す予感がしてならなかった。


 数日後、私は生徒会室の窓から外を眺めながら、二人の様子を思い返していた。   あの時、奈々は真剣な表情で風間くんに何かを伝えた。彼も戸惑いながらも、しっかりと彼女の言葉を受け止めていた。 あの瞬間、私にはわかった。 彼らの間には、ただの友達以上の何かが芽生え始めていることを。 それは、少しずつ、確実に、距離を縮めていくような気がした。 「……やっぱり、あの二人は特別なんだな」 私は静かに呟いた。 その後、二人は少しずつ、互いに対する気持ちを素直に伝え合うようになった。 奈々は、風間くんのことを気にかけ、さりげなく優しく接するようになったし、風間くんも、彼女の真剣さに応えるように、少しずつ心を開いていった。 そして、文化祭の準備も、二人の協力のもと、順調に進んでいる。 nn私には、もうわかっていた。 このままいけば、彼らの関係は、ただの友達から、もっと深い絆へと変わっていくに違いないと。 「……これからも、見守っていこう」 私は静かに微笑みながら、心の中でそう決めた。 彼らの未来が、きっと、幸せなものになると信じて。

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