第2話

勇気を出してよかった。ふわふわした気持ちのまま歩く。

時間に遅れないようにアラームセット。

上の空で他の教室の展示物を見る。


あの人は「現代に武士の精神を持つ事」を目標にしている。最初は全く理解ができないし戦国時代マニアかと思っていた。


同好会を自称して一人で活動を始めたあの人は、弓道や剣道部はないので洋弓部に入り、体を鍛えている。徐々にみんな認識され冬には合戦場の近くでブルーシートを天幕に賛同者と野営をしたとか。将棋や書道部にも顔をだしているらしい。


そんな中、私との出会いは茶会で使う器を作りたいと陶芸部に来た事だった。

武士は自分で器を作らないのではないかと思ったが、私にはわからない。

陶芸教室にでも行けばいいのにと迷惑に感じたが、熱心に質問し真面目に土作りから取組む姿に関心を奪われていった。土を捏ねる肩の動き、探究する指達。短期間で作られた器はいびつだが、作為のない誠意を感じた。

つまり、もっとあの人の事を知りたくなった。

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