箱入り
Iloha
第1話
去年の6月、友達と遊びに行った。
公園。
二人とも沢山写真を撮った。
お花、お花、お花。
ハーブもいっぱい。
錦鯉の泳ぐ鯉をパシャリ。
噴水が湧き上がったらパシャリ。
公園の敷地にあるカフェで、わ。
君、ご飯の写真まで撮るんだ。
でもそのミックスベリーが入ったアイスティー
確かにそそられる。
カトラリも素敵だね。
真似して私も撮影。
「次どこに行こうか」
うーん、思いつかない。
自分ちの近くなら山ほどあるけど。
あー、あんま冒険してないなぁなんて
思ってた。
びっくりするほど方向音痴だし。
ナビを駆使して、友達はあちこち連れて
行ってくれた。
ちょっとオシャレで生産過程にこだわってる
食品店とか。
明治屋さんなんかとはまた趣向が違う。
「ふうん、君デートがすごく上手だね。
私なんか父が連れて行ってくれたホテルの
バーとか、イタリアンとか。夫と行った
お店しか分からない…」
私が「ケーキ食べたい」って言ったら、
ヒョイヒョイ、裏道を抜けて目的地へ。
あら、お休み。
「じゃあ、あそこかな」
凄い速さでまた違うケーキ屋さん。
あ、ここ老舗なんだよね。
「なんでも分かるね、運転も上手いし。
私連れて行って貰うばっかりで…」
って言いかけて気がついた。
「きゃー、私って箱入りだよ!」
ちょっと立ち上がっちゃった。
友達はニコニコしてたけど、
なんて思ったんだろう。
元々ひとりで買い物したり、
ご飯を食べたり、映画を観たり。
そんなのは平気だったけど、
顔が赤くなった。
それ以来、ひとりでちょっと遠出したり、
お馴染みのお店を作ろうとしたり、
頑張っている。
方向音痴も恥ずかしいけど、
「箱入り」はもっと恥ずかしいや。
飛び出せ、箱入り。
箱入り Iloha @Iloha
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