36話
そして何事もなく数カ月が経過した。使用人達の全員が文字を読めるようになり、ほとんど全員が文字をかけるようになった。そして勉強が好きになっていた。二人は使用人達に授業をしていく中でどんなに貧乏な者でも学校で授業を受けられるように学費を5割から7割負担することにした。そうしていると、この国の国民が少しずつ笑顔が増えていった。それを見たタルザナとカイヤは、このタイミングに式を上げようと準備を進めていた。そして招待する者たちの資料を見ていたタルザナの手が止まった。それはある令嬢の写真を見た。そしてタルザナは小さく呟いた。
「り、あ…?」
タルザナは、その令嬢の情報が書かれていた資料を食い入るように見て確信した。タルザナの前世の小鳥の友人だったりあもこの世界に来ていると言うことを。その事実を知ったタルザナは、顔を青くさせながらその令嬢の資料を握りつぶした。カイヤはあまりにも異常なタルザナの様子にタルザナに声をかけた。ファトールは何かを察して使用人達を下がらせた。
「タルザナ、何かあったのか?その令嬢…リアナ・アパタイトに因縁があるのか?」
とう言いながらカイヤはタルザナの肩に優しく手を置きながら優しい声でタルザナに問う。タルザナはリアナの顔をまじまじと見たことはなかった。そのため気づけなかったがそうなるとリアナの対応に合点がいったのだ。
「………彼女は、私の前世に私を散々利用した挙げ句に友達だと言いながら私を裏切り苦しめいた人間、りあです。その表情、そして情報で私も気づきました」
「何だと…?」
カイヤは一瞬、顔を顰めた。ファトールは何も言わずに黙って話を聞いていた。タルザナは苦々しい表情でリアナの資料を握り潰している。その手から血が出ていた。だが、タルザナの内心は冷静だった。
(りあが転生してきたなら、両親も…?その可能性は高いと思ったほうがいいな)
と考えながらタルザナは自らの爪が手の肉に刺さっていることさえもお構いなしに考えていた。
りあは、情報を見た限り現世でもタルザナに執着するようだ。このまま逃げていれば、面倒なことになる。彼女はそういう人間だ。無視をしていれば余計にこちらが無視できない状況に追い込む。タルザナは、何故自分に執着するのか分からなかった。だが、それでも立ち向かわなければいけないのだ。自分のトラウマに。そうでなければカイヤに見合う女性になどなれるはずがない。タルザナは体を震わせながら、最近は形を潜めていた自分の悪役令嬢としての自分が顔を出す。その表情は、大胆不敵という言葉がよく似合うだろう。
「面白い、この世界でも私に執着するとは。もうやられっぱなしの私ではないことを見せてやる」
と言いながらタルザナは震える体を隠すように高笑いをした。
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