あら、とても親孝行な娘さんだこと。
お父さんの還暦祝いにオーダーメイドのスーツを贈るそうです。
確かに、高齢でもまだまだ現役の方が多い今の世の中、赤いちゃんちゃんこなんて滅多に羽織る用事のない物よりも、ずっと有用に違いありません。
しかも、オーダーメイドとなると、サイズを一から測って仕立てるので、既製品にはないその人の為だけの特別な一着に仕上がるんですよね。
ポッコリちょっと気になるお腹もカバーしてくれるあたり、やはり特別感が感じられます。
特別お祝いする必要はないと照れていたお父さんも、何だかんだで嬉しそうです。

そんな特別な一着を贈る、ある日の出来事の物語です。
ちらっと差し込まれていた伏線の回収が見事でした。

還暦を迎える父親は、まだまだ現役だ！ということでオーダースーツを贈る事になります。
とてもストレートに感動できる物語です。
泣けました。

これは自分が探してた感動作の一種です。
やっぱり感動作って“亡くなる”というワードが多いのでそうじゃない感動作も探してみたくなりますね。

今や還暦などまだ若いうち。
な時代になっています。
確かに、昔の還暦に比べれば、皆さま若々しいし、バリバリ働いている方も多い。
けれども、体は確実に60年の時を経ているという事を考えると……

娘から父への贈り物。
娘から父への想い。
そして、父から娘への想い。

親の立場から、子の立場から、どちらの視点から読んでも心が動く素敵な物語です。