エピローグ 新たな時代と幸せな未来

 あれから少し経ち、ギルドは完全に新体制へ移行した。

 ETFファンドの仕組みは王国中で認知され、新しい産業をどんどん育てている。リューシャを中心に腐敗の一掃とルール整備が進み、保守派貴族も渋々ながら従うしかなくなった。


 王国も「市民が主体の商業国家」を目指して改革を始めており、まさに経済のパラダイムシフトが起きつつある。

 そんな大忙しの中、俺とエリナは晴れて結婚式を挙げた。王宮や商人仲間も総出で祝ってくれ、それはもう盛大な騒ぎだった。


 もっとも、新婚旅行どころか、連日会議や視察、調印式などに追われる始末。でも、エリナは笑って「これが私たちのハネムーンね」なんて言う。

 馬車で移動しながら新しい市場を見回り、船で海外の商業都市にも渡る。まぁ確かにデートと言えばデートかも。俺も「まあ、商売繁盛の旅だからな。でも、君と一緒ならいつでも幸せだよ」と照れながら返すと、エリナは頬を染めて笑ってくれる。


 やがてシステムが安定し、街には活気が戻る。

 “フェニックス・ファンド”を通じて起業する若者や、新技術を発明する職人も増えた。今やファンドが投資する先は何十とあり、経済がどんどん回っているのがわかる。


 エリナはあいかわらず天才的な記憶力で情報を管理し、ギルドの政策立案などもバリバリこなしている。俺もそれをサポートする形で新しい市場設計を進めたり、海外貿易を拡大したり。

 とはいえ、公務が終われば二人きりの時間も大切にしている。ギルド本部近くの屋敷で、のんびり夕食を食べながら「今日はどうだった?」なんて話をするのが日課だ。

 いつか子どもが生まれたら、さらに賑やかになるんだろうな、と想像すると自分でもニヤけてしまう。


 ある夜、執務を終えて中庭のベンチに並んで座っていた。

 見上げれば満天の星。暖かな風が心地いい。


「なあ、エリナ。気づけばすごいとこまで来ちゃったよな、俺たち」

 苦笑しながら言うと、エリナが俺の腕をそっと抱いてくる。

「ええ……最初は奴隷と主人、なんて関係だったのに。今はこうして夫婦になって、ギルドまで手に入れちゃって……」

「そうだな。現実とは思えないよ。前の世界じゃ想像もしなかった」


 エリナは笑顔で小さく首を振る。「でも、これは夢じゃないもの。私たちが二人で手を取り合って、仲間と一緒に築き上げた未来だわ」

 その言葉に、俺も胸がじんとする。改めて手を重ねると、エリナは幸せそうに微笑んだ。


「ありがとう、エリナ。俺の隣にいてくれて」

「……こちらこそ。マコトさんが、私の人生を変えてくれたんだもの」


 柔らかな夜風が髪を揺らし、星空がさらに輝きを増していく。

 ギルドを買収し、新時代を切り開いた俺たち夫婦。ここから先も色々あるだろうけど、もう怖くない。二人なら、そして仲間がいれば、どんな危機も乗り越えられる気がする。


 夜空を見上げて、俺は静かに思う。

 金融知識と仲間の絆……その両方を武器に、俺たちはこの異世界を“もっと豊かで公正な世界”にしていく。

 まだ新しい市場も数多くあるし、未知の国もある。誰も挑んだことのない投資がいくらでも待っているだろう。


 エリナの肩をそっと抱き寄せて、俺は微笑んだ。

「……行こうぜ、エリナ。これからも、俺たちで新しい革新を仕掛けよう」

「うん……!」


 そう心に刻みながら、俺は彼女の頬に優しくキスを落とす。

 “最強の夫婦トレーダー”、なんて冗談めかして呼ばれる日も近いかもしれないな、なんて思いながら。



 こうして俺、マコトの“異世界経済を攻略する”物語は幕を下ろす。

 マーリスでの成功、王都での暗躍、追われる逃亡劇……そしてギルドそのものを買収するという前代未聞の逆転劇に至った。

 エリナとの出会いは奴隷と主人だったけど、今は最強の夫婦として世界を動かす力を得た。


 俺たちが立ち上げたフェニックス・ファンドは、今も多くの人々の夢と資金を集め、新しい経済システムを形作っている。

 「商人ギルドなんて所詮、強欲の塊」と言われていたのを塗り替え、“公平な利益分配”を実現する日が来るかもしれない。


 夜な夜な窓から星空を眺めるたび、思う。

 一人でも多くの人を豊かにできれば、それは“剣と魔法”よりもすごい奇跡なんじゃないだろうか。

 そう考えると、俺とエリナは飽きる間もなく、まだまだ走り続けるだろう。


 だって、この世界にしかない金融と魔法の融合なんて、新しいビジネスがいくらでもあるから。

 それがまた、大冒険なのだ。


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26歳の敏腕トレーダー、異世界経済を攻略中~現代の投資術で商人ギルドごと頂きます~ はるはるな @haruharun

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