最終章5 買収成立、そして未来へ
ギルド長の持分が担保として没収され、株式が市場に投げ売りされると同時に、俺たちは裏で素早く買い集めた。
リューシャや下級幹部たちも“ギルド再建”を望んでくれて、彼らの持ち株をフェニックス・ファンドへ譲渡。
「これでギルドの総株数の過半数を握りました……!」
エリナが興奮気味に報告する。俺はゆっくりと息をついて笑った。
「やったな。つまり、これからの“商人ギルド”は……俺たちのものだ」
王国政府も、ギルドの不正スキャンダルがここまで明るみに出た以上は庇いきれない。かといって貴重な商業基盤を失うのも避けたく、結局「ギルド買収は正当」と認めざるを得なかった。
こうして、長きにわたるギルド独裁は幕を下ろし、フェニックス・ファンドを中心とした新ギルドが誕生する。
公開された経理資料や幹部の証言から、暗殺や賄賂、価格操作などの悪行が次々に暴露された。
市民や商人は驚愕し、怒り、時に嘆き……だけど俺は言う。
「ギルドそのものが悪なんじゃない。商人たちをまとめ、安心して取引する場を作るのが本来のギルドの役目なんだ。俺たちは、その姿を取り戻したい」
その言葉に多くの商人が拍手してくれた。「新しいギルドなら期待できる」と口々に言ってくれて、俺たちは嬉しさと責任感で身が引き締まる思いだ。
祝賀ムードの中、ギルド本部の大ホールでパーティーが開かれた。
集まった人々が「マコトさん、あなたはもう英雄ですよ!」なんて持ち上げてくれるが、俺は苦笑するしかない。英雄なんて柄じゃない。
ふと窓辺を見れば、エリナが遠く夜空を眺めていた。
「……ここまで来られるなんて、夢みたいですよね」
彼女が小さく息をつく。その横顔には安堵と達成感、そしてわずかな寂しさが混じっているように見えた。
そっと近づいて、隣に立つ。
「エリナ……君がいてくれたから俺もここまで来られたんだ。ありがとう」
エリナは振り向いて柔らかく微笑む。「私こそ。マコトさんの知識と決意がなければ、途中で諦めてたかもしれません」
俺はしばらく黙っていたが、意を決して言葉を紡ぐ。
「実は……もう一つ伝えたいことがあるんだ」
賑やかな宴の片隅。まるで二人だけの時間が流れるみたいに、静寂が落ちる。
俺はポケットから取り出した小さな指輪を、エリナの前に差し出した。
「最初は“奴隷”と主人という関係だったけど、今はもうそんなのじゃない。君は俺の最高の相棒、そして……大切な女性だ。
もしよければ、結婚してほしい。今度はパートナーじゃなく、家族として……」
エリナが息を呑むのがわかった。頬が赤く染まり、潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
「……はい。よろこんで……!」
一拍遅れて、彼女は俺の胸に飛び込んできた。
ドキリとしながらも俺はしっかりと抱き留める。周りの仲間が「あっ!」と気づき、「おおーっ!」と歓声を上げた。拍手が巻き起こり、一気に祝福ムードだ。
エリナは頬を染めつつ「マコトさん……私、本当に大好きです……」と囁いてくれるから、俺も顔が熱くなる。
「そっか……俺も好きだよ、エリナ」
ぎこちない抱擁。だけど、これが二人の“今後”を示す決定的な瞬間だった。
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