第32話 世界で一番可愛い顔の恐山響子さん
僕の胸で響子はぼろぼろと涙を流す。
「もう無料、私限界……」
僕は響子の濡れた体を抱きしめる。
雨に濡れた響子の体は冷たくなっている。
僕は響子の金髪を撫でて、耳もとで大丈夫大丈夫と囁く。
高校の時に響子にそうしてもらったようにボクも同じことをした。
ある程度泣いて、落ち着いてた響子は僕にありがとうと言った。
僕は響子にキスをした。
そのキスはすぐに大人のものになった。
お互いの存在を確かめるようなキスをしたあと、僕は響子をカウンター席に座らせた。
奥の倉庫からバスタオルを取ってきて、響子に手渡す。
僕は響子のためにホットチョコレートを淹れた。
響子はマグカップを両手でつつみ、ふーふーと息を吹きつける。そして美味しそうにホットチョコレートを飲む。
落ち着いたた響子は近況を話し始めた。
「ここ半年ぐらいまともに休みがなかったの。収録とかなくても台本とか読んで準備しないと行けないし、YouTubeなんかも更新しないといけないし。やりたくて入った業界なのに難のためにやっているかわからなくなったのそれに……」
響子はそこで言葉を区切り、ホットチョコレートを一口飲む。
「直人君に会えないし。私、やっている意味を見いだせなくなってきたの」
響子はじっと真君のを見つめる。
「じゃあ辞める?」
僕は響子にそう言った。
これは僕の身勝手な欲求だ。
僕は大好きな響子に側にいてほしい。
響子と毎日エッチな事をしたい。
響子の綺麗な顔を見て、大きな胸を触りたい。
だから仕事を辞めて、側にいてほしい。
これは本当に身勝手な願望だ。
響子が芸能界をやめたら、こらから生まれる多くの名作に命を吹き込まれることはないだろう。
響子の女優、声優としての実力はその仕事量が証明している。
多くの人のためには響子には女優を続けてもらわないといけない。
僕は響子を励まさないといけないはずだ。
でも僕は自分の欲望を優先した。
「えっいいの」
響子はホットチョコレートを飲んで温かくなったのか、顔を赤くしていた。
「いいよ、嫌なら辞めたらいいじゃない。そうだ、うちで働くといいよ。最近僕と美夕紀さんだけじゃあ手がまわらなくなっていたんだ」
何度か雑誌に取り上げられ、ここ最近お客さんが増えてきているのは確かだ。
僕はそれを口実にした。
本当は響子に側にいてほしいそれだけだ。
「わかった、そうする」
響子はにこりと微笑む。
まったく可愛い笑顔だ。
僕は響子を連れて、自宅のマンションに帰った。
雨に濡れた響子にシャワー浴びさせる。
シャワーを浴びた響子は下着のまま、浴室から出てきた。
それはもうむちゃくちゃエロい。
我慢できなくなった僕は響子をベッドにつれていく。そして思う存分セックスをした。
響子もまったく嫌がることなく、むしろすすんで僕を受け入れた。
響子を抱きながら、僕はやはり母さんの子だと実感した。
母さんは自分の欲望のために家を出て、りんのお父さんと暮らし始めた。
冷静に考えたら、僕の父さんのところにいたほうがいいのらあきらかだ。
それなのに母さんは感情を優先した。
その先はあの貧しい生活であった。
僕も本当ら響子をはげまして、芸能のシゴトを続けさせるのが正解のはずだ。
響子はあの富士宮林檎と同じ様に可能性の塊だ。
僕の性欲のためにしばりつけるのはよくない。
この先きっと響子は数々の名作に関わることになる。
僕が響子を独占したら、本来世に出るはずなのった名作は日の目をみなくなる。
それは大袈裟に言ったら人類の損失だ。
でも僕は響子の体に何度も果てながら、考えた。
響子を誰にも渡したくない。
こんなに可愛い彼女は一人占めしたい。
それに響子もそれを望んでいるようだ。
この日、僕たちは久しぶりに抱きしめあいながら眠りについた。
この響子の肌の温かさを知ってしまうともう後には戻れない。
翌日、響子は一度東京に戻ることになった。いくつかの仕事をほったらかしにしたので後始末をしないといけない。
数日後、恐山響子は病気を理由に休業を宣言した。
七月には響子は大阪に戻って来て、僕と暮らすようになった。
響子が帰ってきて、僕は早速彼女に結婚を申し込んだ。
響子のことを法律的にも僕の側にいてほしいと思ったからだ。
「うん、わかったわ。私、直人君のお嫁さんになる」
響子はめちゃくちゃ喜んでくれた。
結婚式はごくごく親しい人たちだけで挙げることにした。
僕のほうは母さんの美咲と妹のりんだ。
響子のほうは両親と響子の姉の京花さんが参加した。友人として目黒美々、中村智和、丹下桜子そして富士宮林檎が参加した。
久しぶりに二次元文化研究部がそろったことになる。そうそう中村智和君は今年から鳴海出版で編集者として働いている。
ウェディングドレスを着た響子は世界で一番可愛い。
僕たちは神父さんの前で近いのキスをする。
「響子、世界で一番可愛い」
僕は響子にそう言う。
「ありがとう直人、ずっと一緒にいてくれる?」
「もちろんだよ」
響子の未来を独占したのだから、それは当たり前だ。
「大好き直人」
響子は僕の手を握る。
手には結婚指輪がはめられている。
「もう大丈夫だね」
響子が僕に問いかける。
「ああ、大丈夫だよ」
僕たちはお互いに大丈夫大丈夫と言いあった。
終わり
学校で一番怖い顔の恐山響子さんは僕にだけ懐いてくる件について 白鷺雨月 @sirasagiugethu
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